第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

(解説)次期輸送機(XC-2)初フライト

 10(平成22)年1月26日、次期輸送機(XC-2)試作機1号機が、航空自衛隊岐阜基地にて初飛行を行った。試験結果は良好であり、3月30日をもって製造会社である川崎重工業(株)から防衛省に納入された。
 「大積載量」「長航続距離」「高速巡航」のコンセプトのもとに開発されたXC-2は、日本が自主開発する機体としては過去最大、現有C-1輸送機に続く2番目の国産輸送機である。
 航続距離は、C-1は約1,700km(有効積載量2.6t搭載時)、C-130Hは約4,000km(5.0t搭載時)なのに対し、XC-2は約6,500km(12.0t搭載時)となっており、本機導入により、航空自衛隊の航空輸送能力が大幅に拡充されることとなる。(図表II-2-2-4参照)
 航空自衛隊が保有する輸送機の積載量について例をあげて比較すると、C-1では一般のRV車、C-130Hでは中型トラック程度が従来の運搬可能な車両であったが、XC-2ではタンクローリーのような大型トレーラーの輸送が可能となる。XC-2を部隊展開に用いたなら、ペトリオット部隊の空輸も可能である。
 航続距離と積載量の拡充は、一つの輸送任務を成し遂げるためのフライト回数や所要時間、使用機数の効率化につながり、航空自衛隊の輸送能力を向上させるものである。
 XC-2は平成25年度末頃の開発終了を見込んでおり、運用が開始されれば、有事における航空輸送任務のほか、災害派遣や国際平和協力活動などの平時における航空輸送任務に従事し、世界の空に羽ばたくこととなる。
 
離陸するXC-2

 

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