第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

(解説)南西諸島防衛に関する現状

 わが国は、多くの島嶼(とうしょ)が存在しているという地理的特性を有しており、島嶼部に対する侵略といった事態において、このような地理的特性がわが国の安全保障上の脆弱(ぜいじゃく)性とならないよう万全を期す必要がある。
 防衛省・自衛隊は、平素から南西諸島の領海・領空とその周辺の海・空域を常時警戒監視するとともに、防衛に必要な情報を収集し、事態の兆候を早期に察知するさまざまな活動を行っている。また、島嶼部に対する侵略に実効的に対処するため、部隊を機動的に輸送・展開できる態勢を維持している。
 こうした中で、陸上自衛隊においては、10(平成22)年3月に、沖縄の第1混成団を第15旅団に改編・強化するなど、南西諸島の防衛体制の整備を進めてきているところである。
 また、海上自衛隊の艦艇や航空機は、かねてから、南西諸島周辺海域における警戒監視を実施しており、近年、その警戒態勢を強化している。
 
第15旅団改編行事の隊旗授与式において第51普通科連隊長の中西1佐に連隊旗を授与する北沢防衛大臣 (10(平成22)年3月26日)
 
南西諸島の部隊配備の現状

 さらに、航空自衛隊においては、09(同21)年3月までに、F-4戦闘機の減勢に対応し、実効的な防空態勢を確保するため、F-15戦闘機部隊を那覇基地に配備したところである。
 しかしながら、現在、航空自衛隊のレーダーサイトが所在する宮古島以西には部隊は配備されておらず、防衛上の一種の空白地域となっているのが現状であり、防衛省において、わが国を取り巻く安全保障環境などを踏まえ、南西諸島の防衛のあり方について、新たな部隊配備も含め検討しているところである。

 

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