4 公正性・透明性の向上のための取組
防衛省では、装備品などの取得にかかわる公正性・透明性の向上を目指し、契約の適正化のための措置やチェック機能の強化などといった観点から、これまで諸種の施策を講じてきた。
昨今では、政府全体の公共調達の適正化の一環として、防衛省においても、総合評価落札方式
3の導入拡大、複数年度契約の拡大、入札手続の効率化、随意契約の見直しなどに取り組んでいる。こうした施策とあわせて、06(同18)年7月、装備品の調達を行っている装備本部
4(当時)監査担当副本部長を、内部部局には監査課を設置し、チェック機能の強化に努めている。
また、08(同20)年には、(株)山田洋行による海外製造企業の見積書を改ざんして防衛省に過大請求した事案などを踏まえ、一般輸入調達問題への対応として、以下のような措置を講じた。
1) 一般輸入調達の際に特約条項を新設し、見積書などを海外製造企業に直接照会することや、過大請求に対する違約金を従来の2倍に増額
2) 商社の経理会計システムなどを調査する輸入調達調査の導入
3) 現地価格調査の機能の強化のため、装備施設本部に在籍する在米輸入調達専門官を3名から10名に増員
4) 平成21年度から、輸入調達事務を専門に担当する部署である輸入調達課を装備施設本部に設置
他方で、平成20年度防衛監察において、航空自衛隊第1補給処によるオフィス家具などの事務用品の調達において不自然な入札状況が判明したことから、防衛省は、09(同21)年5月、談合情報対応マニュアルに基づいて公正取引委員会に通知した。同年6月、公正取引委員会は、事業者および航空自衛隊へ立ち入り調査を行い、10(同22)年3月、関係事業者に対して独占禁止法に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を発出し、防衛大臣に対しては改善措置要求などを実施した。
こうした事態を受けて防衛省では、楠田防衛大臣政務官を長とする「空自第1補給処オフィス家具等の事務用品談合事案調査・検討委員会」を設置し、事案の調査および必要な措置の検討を進めているところである。
3)技術的要素などの評価を行うことが重要であるものについて、価格のみによる自動落札方式とは異なり、価格以外の要素と価格とを総合的に評価して落札者を決定する方式