第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

2 取得改革にかかるこれまでの主な取組

1 ライフサイクルコスト管理の強化

 主要装備品は、調達された後も、長期にわたり運用されることから、装備品の構想、開発、量産、運用(維持・修理・改修を含む。)、廃棄に至るライフサイクルを通じた効率的・合理的な管理を進めていくことがきわめて重要である。
 装備品のライフサイクルを通じたコストを適切に管理することは、開発や量産への着手といった結節点における費用対効果の判断を踏まえた意思決定をはじめ、効果的かつ効率的な装備品などの取得に寄与するものである。
 防衛省では、08(同20)年3月からライフサイクルコスト1(LCC:Life Cycle Cost)管理の試行を開始しており、装備品の分類ごとに統一的な算定基準を定め、試行対象主要装備品2のLCCの見積結果を年次報告書として取りまとめ、同年8月と09(同21)年8月に防衛大臣に報告するとともに、公表している。
 10(同22)年4月からは、それまでの試行作業の成果を踏まえ、段階的に管理対象を拡大してコスト算定作業、コスト管理を実施するとともに、機種選定・取得形態のコスト比較、性能とコストのトレード・オフ・スタディ、コスト抑制の施策の検討などを目指したLCC管理の活用を推進している。なお、09(同21)年4月には、装備施設本部にライフサイクルコスト管理室を設置し、LCCにかかる省内の管理体制を整備した。


 
1)装備品の構想、開発、量産、運用(維持・修理・改修を含む)、廃棄に至るライフサイクル全体に要するコスト。

 
2)試行対象装備品に、平成20年度から戦闘機F-2、固定翼哨戒機P-1を、平成21年度から10式戦車、平成20年度掃海艇(MSC)、次期輸送機を試行対象に加えた。


 

前の項目に戻る     次の項目に進む