1 装備品などの取得をめぐる問題意識
防衛上の所要に対応した装備品を適切かつ効率的に取得することは、わが国の防衛力整備にとってきわめて重要である。また、装備品にかかる真に必要な生産・技術基盤を国内に平素から保持しておくことは、安全保障の主体性を確保する上でも、独立国家として必要不可欠である。防衛省では、これまでこうした目的意識のもと、特に装備品などの調達・補給の効率化・合理化、取得にかかわる公正性・透明性の向上といった観点から装備品の取得に関する必要な施策の検討・実施に取り組んできた。
この背景には、厳しい財政事情や装備品の高性能化にともなう高価格化といった取得をめぐる昨今の環境の変化により、これまで以上にコストに配意して装備品などを取得していくことがますます重要となっていることや、行政刷新会議での議論に象徴されるように、税金の使途について国民に対する十分な説明責任を果たすために、調達の適正性を高めていく必要があることなどの事情がある。そのため、装備品取得の公正性・透明性を確保しつつ、リスクやコストを抑制し、優れた装備品を取得できる有効な施策を講じていくための取得改革を引き続き推進していくことが必要である。
また、近年、抑制傾向にある防衛関係費などに起因して、わが国の防衛生産・技術基盤が厳しい状況に直面しており、事業性の確保が困難となっている国内防衛関連企業がある。今後、こうした企業が防衛事業から撤退ないし倒産した場合、わが国の防衛力整備に深刻な影響をもたらすことも想定されるため、今後の取得改革の推進に際しては、防衛生産・技術基盤の重要性にも十分配慮することが求められている。