第3節 アジア太平洋地域における安全保障枠組・協力への取組
1 多国間安全保障対話の意義
わが国にとって、アジア太平洋地域の平和と安定の確保のためには、日米同盟を基軸としつつ、この地域における多国間・二国間対話の枠組を補完的・重層的に強化していくことが重要である。特に、地域協力の将来像に関しては、わが国では菅内閣総理大臣や鳩山前内閣総理大臣が長期的ビジョンとして東アジア共同体構想を提唱しており、オーストラリアはアジア太平洋共同体構想を掲げているなど、域内各国において議論が活発に行われている。また、経済、金融、エネルギー、環境分野などにおける閣僚級会合に加え、安全保障分野においても、地域協力の枠組構築に関する議論が進んでいる。さらに、アジア太平洋地域における多国間の安全保障への取組は、対話と信頼醸成の段階から、具体的な協力と規範構築の段階に移行しつつあるなど、地域における安全保障協力のさらなる深化が期待されている。
こうした状況を踏まえ、わが国としても、安全保障分野において重層的な枠組を構築し、具体的な地域協力の深化に向けて着実に一歩ずつ取り組んでいくことが重要であるとの認識のもと、地域の安全保障協力の推進に向け、主体的に取り組んでいる。