第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

2 わが国の取組の経緯と意義

 国際テロはグローバルな脅威であり、その防止と根絶のため、わが国としても国際社会と協調しつつ適切に取り組んでいくことは重要である。このような観点から、わが国は、テロ対策の強化のため、さまざまな分野での取組2を行ってきている。こうした取組の一つとして、01(同13)年12月以降、旧テロ対策特措法(同法の失効後は補給支援特措法)に基づき、海自はインド洋において、途中の中断をはさみながらも、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどのほか、イスラム教国であるパキスタンなど、テロ対策に取り組む諸外国の艦船に対し、洋上における補給活動を行ってきた3。この補給活動によって、各国艦艇は燃料や水などの補給のために港に戻ることなく広範な海域において活動を継続することが可能となった。
 こうした洋上での補給活動は、旧テロ対策特措法の失効による一時中断を挟みながらも約8年にわたり行われたが、近年においては、補給回数が一時期に比べ減少してきたことにともない、補給活動の意味合いが小さくなってきていた面もあった。このことから、政府としては、補給支援特措法の期限を延長せず、アフガニスタンに対しては民生支援を中心として引き続きテロ対策に取り組んでいくこととし4、補給支援特措法に基づく補給支援活動は、10(同22)年1月15日の同法の期限をもって終了した。
 
補給活動を行う護衛艦


 
2)わが国は、出入国管理、テロ関連情報の収集・分析、ハイジャックなどの防止対策、NBC攻撃への対処、国内重要施設の警戒警備、テロ資金対策などの分野を中心にテロなどの未然防止に関する諸施策などを推進している。さらに、政府は04(平成16)年12月に、16項目の具体的措置を含む「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、紛失・盗難旅券情報の国際的共有、出入国管理などの強化、スカイ・マーシャルの導入、外国人宿泊客の本人確認強化、テロに使用されるおそれのある物質の管理強化、情報収集能力の強化などに取り組んでいる。

 
3)08(平成20)年1月以降は、補給支援特措法に基づき、テロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する諸外国の艦船に対する補給に限定。テロ対策海上阻止活動とは、諸外国の軍隊などが行っているテロ攻撃による脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動のうち、テロリスト、武器などの移動を国際的協調の下に阻止しおよび抑止するためインド洋上を航行する船舶に対して検査、確認その他の必要な措置を執る活動をいう。

 
4)09(平成21)年11月、政府は「テロの脅威に対処するための新戦略」(アフガニスタン・パキスタンに対する日本の新たな支援パッケージ)を取りまとめ、早急に必要とされる約800億円の支援を行うとともに、それまでに約束した総額約20億ドル程度の支援に替えて、今後のアフガニスタン情勢に応じて、09(同21)年から概ね5年間で、最大約50億ドル程度までの規模の支援を行うとした。


 

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