第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

3 国際平和協力活動を迅速、的確に行うための平素からの取組

 自衛隊が国際平和協力活動に主体的・積極的に取り組むためには、引き続き、各種体制の整備を進めるなど平素からの取組が重要である。陸自は07(同19)年7月より各方面隊などから持ち回りで派遣の候補となる要員をあらかじめ指定し、派遣ニーズに迅速かつ継続的に対応できる態勢を維持している。また、08(同20)年3月には、陸自の中央即応集団の隷下に中央即応連隊を新編し、国際平和協力活動への派遣が決定された場合に速やかに先遣隊が派遣予定地に展開し、準備を行うことができる体制を整えた。同年8月から9月にかけ、空自の航空支援集団の参加を得て、国際平和協力活動派遣に関する一連の活動を訓練する中央即応集団演習を行い、即応性の向上を図った。
 また、09(同21)年には、国連PKOへのより積極的な参加を目指して、国連待機制度7への登録を行った。
 自衛隊は、国際平和協力活動のための装備品の改善・充実も進めている。陸自は、防弾ガラスやランフラットタイヤ8などを装備した各種車両や、インフラの未整備な場所でも活動ができるよう大容量発電機などを装備するとともに、多様な環境下での活動を可能とするため、輸送ヘリコプター(CH-47JA)のエンジン能力向上などを推進している。また、狙撃(そげき)銃、小銃などの射撃位置を探知する装備の研究も行っている。海自は、海外でのヘリコプター運用の基盤ともなる輸送艦およびヘリコプター搭載護衛艦を装備するとともに、固定翼哨戒(しょうかい)機を海外で効果的に運用するための海上航空作戦指揮統制システムの可搬化および機動運用に関する運用研究などを推進している。空自は、多様な環境下で航空機と地上との指揮通信機能を保持するため、航空機用衛星電話などの整備や輸送機用自己防御装置の整備を推進している。これらの装備は、わが国における事態発生時などにもきわめて有効である。
 また、陸自では、平素より部隊と家族および家族同士のコミュニケーションを促進して、部隊・隊員が安心して国際平和協力活動の任務に即応できる環境を構築するため、部隊と家族の交流施策も行っている。さらに、駒門駐屯地(静岡県)の国際活動教育隊において、国際平和協力活動へ派遣される陸自要員の育成、国際平和協力活動にかかわる訓練の支援などを行っている。
 加えて、10(同22)年3月統合幕僚学校には国際平和協力センターが新設され、今後、自衛隊員、関係省庁職員、部外関係者などに対する国際平和協力に関する教育を行っていく予定である。


 
7)国連PKOの機動的展開を可能にする目的で、94(平成6)年に国連が導入した制度。PKOに提供可能な要員などを国連加盟国があらかじめ通報しておくことにより、実際のPKO展開に際して、国連PKO局から各国への協力の打診の迅速化・円滑化をねらうもの。

 
8)被弾などにより空気が抜けても安定走行が可能なタイヤ。


 

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