第III部 わが国の防衛に関する諸施策 

2 海賊行為の発生状況と国際社会の取組

 東南アジアなどの海域では海賊事案発生数が減少傾向にある一方、ソマリア沖・アデン湾の海域においては、機関銃やロケット・ランチャーなどで武装した海賊による事案が多発・急増している。ソマリア沖・アデン湾の海賊はわが国を含む国際社会への脅威であり、緊急に対応すべき課題である。
(図表III-1-4-1 参照)
 
図表III-1-4-1 ソマリア沖・アデン湾における海賊等事案の発生状況(東南アジア発生件数との比較)

 08(同20)年6月に採択された国連安保理決議第1816号をはじめとする累次の決議1において、各国は、ソマリア沖・アデン湾における海賊行為を抑止するための行動をとるよう要請されており、特に軍艦および軍用機を派遣することを要請されている。
 これまでに、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ギリシャ、デンマーク、オランダ、ポルトガル、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、カナダ、ロシア、トルコ、シンガポール、インド、中国、韓国、マレーシア、サウジアラビア、イエメン、ケニア、オーストラリア、パキスタン、バーレーンなどがソマリア沖・アデン湾に軍艦などを派遣している。また、欧州連合(EU:European Union)は、08(同20)年12月、海賊対処のための作戦(アタランタ作戦)の開始を決定して、世界食糧計画(WFP:World Food Programme)船舶の護衛や同海域の警戒などを実施しており、北大西洋条約機構(NATO:North Atlantic Treaty Organization)も、09(同21)年3月、NATOとしての海賊対策作戦を再開した。
 
スキフと呼ばれる海賊船の一例


 
1)ほかに、08(平成20)年決議第1838号、1846号および1851号ならびに09(同21)年決議第1897号がある。


 

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