平成21年版 日本の防衛 ダイジェスト 

第III部 わが国の防衛のための諸施策

 防衛省・自衛隊は、統合運用のもと、新たな脅威や多様な事態および本格的な侵略事態への対処を適切に行うため、平素からの取組を進めている。また、わが国の防衛や地域の平和と安定において重要な意義を有する日米安全保障体制の強化に努めている。
 グローバルな脅威への対応は、一国のみでの解決が困難であることから、国際社会の一致協力した取組が必要である。また、防衛力の中核である自衛隊が任務を遂行するためには、国民の理解と支援を得ることが不可欠である。

第1章 わが国の防衛のための自衛隊の運用と多様な事態への対応

 武力攻撃事態等における国および国民の平和と安全を確保するための法制などの整備や、自衛隊の運用体制の整備などの努力を継続している。

 本年4月の北朝鮮によるミサイル発射に際しては、イージス艦およびペトリオットPAC-3を展開し、わが国領域への落下に対する備えを行うとともに、各種情報を官邸などへ迅速に伝達した。
 
核兵器対処のための甲板散水を行うイージス艦
 
秋田県に展開したペトリオットPAC-3

 また、自衛隊は、災害派遣活動を迅速・的確に行うため、統合防災演習などの各種防災訓練に積極的に参加するとともに、平素から地方公共団体との連携の確保に努めている。
 
岩手・宮城内陸地震において給水支援を行う陸自隊員

 さらに、本年4月からの新型インフルエンザ対策に際して、自衛隊の医官・看護官などを空港検疫所などに派遣して、検疫支援を行った。

第2章 日米安全保障体制の強化

 日米両国は、安全保障面での日米同盟の将来に関する日米協議に取り組んできた。現在、日米間の緊密な連携のもと、兵力態勢の再編に関する合意などに基づく各種の取組を着実に推進している。

 在沖縄米海兵隊のグアム移転に関し、平成21年度予算に、基盤整備事業および設計事業のための経費(約346億円)が予算措置された。
 また、日本政府は米国政府と「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」に署名し、国会の承認を経て、本年5月19日、本協定は発効した。
 
ゲイツ米国防長官との会談に臨む浜田防衛大臣(本年5月)

 原子力空母ジョージ・ワシントンの展開は、わが国の安全および地域における平和と安全の維持に役立つものである。
 
横須賀港に入港する米原子力空母ジョージ・ワシントン〔U.S. Navy〕

 このほかにも、法整備、日米共同訓練、装備・技術面での交流および在日米軍施設・区域に関する諸施策など、日米安全保障体制の実効性の確保、信頼性の向上のための不断の努力を行っている。
 
実動訓練中の陸自および米海兵隊隊員

第3章 国際的な安全保障環境の改善

 一昨年、国際平和協力活動は、わが国の防衛や公共の秩序の維持といった任務と並ぶ自衛隊の本来任務とされた。

 国際テロ対応のための活動としては、補給支援特措法に基づき、インド洋において海自部隊がテロ対策海上阻止活動を行う各国の艦艇に対し補給支援活動を行っている。
 
100回目となる補給の際にフランス海軍フリゲート艦の艦橋に掲げられた謝意を示す横断幕

 国際平和協力活動においては、昨年10月、国連スーダン・ミッション(UNMIS)に司令部要員を派遣したほか、国連ネパール政治ミッション(UNMIN)や国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)における活動も継続している。また、昨年11月および本年5月には、エジプトPKOセンターへの講師派遣を行った。
 
UNMIS司令官に着任挨拶をする陸自隊員

 また、安全保障対話・防衛交流の深化・拡大を通じて、国際的な安全保障環境の改善に向けて積極的に取り組んでいる。
 さらに、拡散に対する安全保障構想(PSI)を含め、軍備管理・軍縮・不拡散にも主体的・積極的に取り組んでいる。
 
日印親善訓練で印艦艇と併走する「すずなみ」(右側)

第4章 国民と防衛省・自衛隊

 防衛力の中核である自衛隊が任務を遂行するためには、国民の理解と支援を得ることが不可欠であり、また、人的および物的な基盤を整えることが重要である。

 防衛省は、自衛隊の精強性の維持や各人の能力、適性、意欲を考慮しつつ、女性職員の採用・登用の拡大を図っている。昨年9月には、護衛艦などへの配置制限を解除している。
 
護衛艦で勤務する女性自衛官

 自衛隊は、地方公共団体や関係機関などからの依頼に基づき、国民とかかわるさまざまな分野で、民生支援活動を行っている。
 
不発弾処理に従事する陸自隊員

 防衛省は、防衛施設の設置・運用が周辺住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう施策を行っている。

 防衛省は、政府の各種計画に基づき、環境へのさまざまな取組について積極的に推進を図っている。オール電化を採用した施設が10(平成22)年に完成予定である。

 防衛省・自衛隊は、各種メディアを活用した広報に取り組んでいる。自衛隊体験ツアーや民間企業などからの依頼を受け、体験入隊を行っている。
 
部隊における生活体験

 

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