第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(解説)自衛隊の映画協力(空へ−救いの翼 RESCUE WINGS−)について

 昨年12月に全国で公開された映画「空へ−救いの翼RESCUE WINGS−」は、防衛省・自衛隊が撮影に全面協力したもので、1人の女性が救難ヘリコプターの操縦者として成長していく姿が描かれています。
 航空自衛隊小松救難隊のUH-60J救難ヘリコプターを操縦する23歳の川島3尉は、かつて母の命を救ってくれた航空救難団に憧れて、救難ヘリのパイロットとして小松救難隊で日々訓練に励んでいました。人命救助の最後の砦として、最も困難な現場に投入されるプロ集団の中で、悩み、揺れながら彼女は成長していきます。ある日、F-15J戦闘機が墜落し、川島3尉が遭難したパイロットの救出に向かうことになりました。彼女は、残燃料のリミットと闘い、命懸けのミッションに突き進むことになります・・・
 実は、川島3尉を演じる女優高山侑子さんの父親は、平成16年の新潟県中越地震で孤立した多くの国民を救出し、翌年、墜落事故で殉職した、新潟救難隊の救難員(メディック)の一員でした。雪山で遭難したパイロットを救出する訓練を行っている最中の事故でした。高山さんは、平成17年、殉職隊員追悼式に出席するために家族で上京した際、原宿でスカウトされて芸能界入りし、この映画と出逢ったそうです。
 高山侑子さんの父親が所属していた救難隊という部隊は、遭難した操縦者を捜索、救助する航空救難のほか、災害派遣業務なども行っています。近年では、主に、阪神・淡路大震災(平成7年1月)、新潟県中越地震(平成16年10月)、記憶に新しいところでは、岩手・宮城内陸地震(平成20年6月)で多くの人命を救助してきました。
 現実には、救難ヘリの女性パイロットはまだ存在していませんが、制度的には開放されており、近い将来誕生するかもしれません。
 映画では、UH-60JやF-15Jのほか、U-125A救難捜索機や護衛艦「はるさめ」など、自衛隊の装備品が多数登場し、スクリーン狭しと大活躍します。本年4月には、DVDも発売されました。自衛隊に興味のある人もそうでない人も、そしてパイロットやメディックになりたい方もそうでない方も、一見の価値がある作品です。是非、ご鑑賞下さい。
 
新人パイロット川島3尉を演じた高山侑子さん
 
小松基地における撮影風景
 
高山侑子さん(左から3人目)と共演者の皆さん

 

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