第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)海外留学で活躍する隊員の声

インド国防大学留学生 1等海佐 俵 干城(たわら たてき)

 07(平成18)年12月の「戦略的グローバル・パートナーシップの前進に関する共同宣言」に引き続き、昨年10月には「日印間の安全保障協力に関する共同宣言」が署名されるなど、近年、日印間の防衛交流が活発に行われています。このような情勢の中、私は留学生としてインド国防大学に派遣されています。
 インド国防大学は、首都ニューデリーに所在し、陸、海、空軍の准将およびそれに相当する各省庁の幹部を対象に、1月から12月上旬までの47週間で安全保障、国家戦略、軍事、科学技術、経済、国際関係、国内問題など多岐にわたる教育を行っています。
 今年度(第49期)の学生数は100名であり、陸軍40名、海軍6名、空軍12名、各省庁19名および英国、米国、オーストラリアなど22か国からの留学生23名で構成されています。多くの留学生とともに学ぶことにより、インドのみならず多数の国について相互理解を得る良い機会となっています。また、本課程では、各分野の専門家による講義とグループ研究に加え、インドの国内問題に関する理解を深めるため、各地における研修も行われています。これにより、座学や旅行だけでは知ることができない、わが国とは全く異なる自然環境、国土の広大さや民族、宗教の多様性などインドの現状を肌で感じ、理解する貴重な経験をしています。
 現在、インドの在留邦人は約3,000人です。中国に約13万人、タイに約4万人、そしてシンガポールに約3万人の在留邦人がいることと比較すると極めて少ない状況であり、この点からも、日印間の幅広い分野での協力はまだまだ発展の余地が大きいと感じています。安全保障分野においても、自衛隊が現在行っているインド洋での補給支援活動や海賊対処活動、そしてわが国の海上交通路の安全確保などを考慮すると、インドが極めて重要な国であることは間違いありません。
 私は、ここで培った経験や人間関係などを生かして、今後とも日印の防衛協力の発展に貢献していきたいと考えております。
 
国内研修におけるインド空軍機内の俵1佐(右から3人目)
 
エジプト空軍及びカタール海軍からの留学生と俵1佐(右端)

 

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