第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)新隊員の声(空自一般幹部候補生)

第1航空団 整備補給群 3等空尉 杉本(すぎもと) しほ

 私は入隊するまで、サークル活動のダンスとアルバイトに明け暮れる大学生でした。大学4年生の就職活動の際、旅行代理店、メーカーなど、さまざまな会社の面接を受け、内定もいただきましたが、そこで働く自分をイメージできませんでした。そんなときに友人が受けるということで、幹部候補生の制度を知りました。もともと体を動かすのが好きでしたし、自衛隊の災害派遣などの活動にも興味を持っていたため、私も試験を受けました。合格した時にはとても嬉しく、防衛の最前線で働けるという期待感を持っていましたが、それと同時に私でもやっていけるのだろうかという不安もありました。そこで、一度現場を見てみようと思い、奈良の幹部候補生学校を訪れました。お会いした学校の教官たちは、仕事に誇りを持って取り組んでおり、とても格好良く見え、不安を抱いている私の質問に丁寧に答えてくれました。私も教官たちのようになりたいと思い、入隊を決意しました。
 入校してからの10か月間は、奈良の幹部候補生学校で修練の日々でした。海で隊列を組んで3時間泳ぎ続ける水泳現地訓練や、重い荷物と小銃を担っての60km徒歩行進訓練等の過酷な訓練は、何度もくじけそうになるほど辛いものでした。しかし、これらの訓練を仲間と支え合いやり遂げることで、私は精神的に強くなり、強い意志を持って取り組めば限界はいくらでも超えられるということを学びました。10か月の間に、他では得られないような貴重な経験を得ることができました。
 現在私は、浜松基地で補給幹部として勤務しています。補給部隊は、物資を取得し、各部隊に配分し、処分するまでの物流の一連の役割を担っています。被服から飛行機の燃料まで、あらゆる物資を扱うため、補給業務が滞れば全ての部隊に影響を与える、責任の重い仕事です。私は、自衛隊の活動を支える縁の下の力持ちのようなこの職種が、自分に向いていると思い希望しました。補給の仕事に関する知識も、部下を引っ張る幹部としての経験もまだまだですが、いずれは、私が入隊することを決意させてくれた幹部候補生学校の教官たちのように、誰かの目標やあこがれとなれるような自衛官になれればと思っています。
 
幹部候補生学校にて指揮官として行進訓練を行う杉本3尉(向かって左側)
 
配属先部隊にて補給業務を行う杉本3尉

 

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