第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)UNMISで活躍した隊員の声

陸上幕僚監部教育訓練課 3等陸佐(当時:スーダン国際平和協力隊長(第1次)) 田中 裕宣(たなか ひろのぶ)

 私は、昨年10月から約半年間、国連スーダン・ミッション(UNMIS)に派遣され、スーダンの首都ハルツームの司令部で勤務しました。
 UNMIS司令部での私の職務は、兵站(へいたん)幕僚としてUNMIS隷下にある派遣部隊や軍事監視要員などの補給や輸送などの調整を行うことでした。兵站幕僚部(J4)は、私の他にオーストラリアおよびエジプトからの幕僚で構成される多国籍の組織でしたが、UNMISの活動基盤をより良いものにしようと、国や文化の違いを超えて一致団結して業務に取り組んでいました。
 最初は様々な国の訛りの強い英語を聞き取ることや、私の英語を相手に理解してもらう事に苦労しました。しかし、日本人の特性である「誠実にかつ丁寧に物事を確実に処理していく。」という勤務姿勢が徐々に浸透したのか、次第に周りの理解を得ることができ、言葉の壁を乗り越えて円滑に業務を行うことができるようになりました。
 勤務の中では、軍事監視要員などの活動する南部地域へ出張する機会もありました。これにより、ハルツームでは見ることのできないスーダンの地方の現状、そして最前線で勤務する軍事監視要員などの実情を知る事ができ、「現場の目線」で勤務することがいかに重要かということを痛感させられる非常に貴重な経験となりました。
 出張先や司令部では、ネパールでのUNMINやゴラン高原でのUNDOFで自衛隊とともに勤務をしたことのある各国の軍人などから「また日本人と働けてうれしい。」とよく話しかけられます。先日はカンボジアの軍人から「自衛隊ありがとう。」との言葉をいただきました。これらは、今まで自衛隊が行ってきた国際平和協力活動が現地で支持され、着実に浸透していることを物語っており、本当に喜びを感じます。
 私も先輩方が築いてきた伝統をしっかりと受け継ぎ、UNMISにおいて日本人としての足跡を残すことに貢献できたのではないかと思います。また、今後はこの経験を後輩に伝え、よき伝統を発展させていきたいと考えています。
 
UNMIS地域司令部でもブリーフィング(中央が筆者)

 

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