第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(解説)国際平和協力活動派遣展開演習

 昨年3月、中央即応集団隷下に中央即応連隊を新編したことにより、自衛隊は国際平和協力活動に迅速に陸上部隊を派遣する体制を整えた。しかし、陸上部隊を海外に展開するためには、膨大な装備品や補給品などの梱包、集積、積載などの海上・航空輸送の準備に加え、任務や派遣国の特性に応じた装備の改修、海・空自の輸送部隊との連携や民間の航空会社、船会社などとの調整など多岐にわたる準備が必要となることから、平素から綿密な計画を立案し、それに基づいた努めて実際的な状況での訓練を行うことにより、計画の検証と派遣予定隊員などの計画への慣熟を図る必要がある。
 このため、昨年秋、中央即応集団は、空自航空支援集団および陸自の関係部隊の支援を得て、中央即応集団司令部、中央即応連隊の派遣予定隊員などから構成される人員約500名、車両約150両、航空機5機が参加したわが国初の実員による国際平和協力活動派遣展開演習を行った。
 本演習は、国内の演習場などを活用し、国際平和協力活動における先遣隊などの行動を訓練するものであり、中央即応連隊、関東補給処などが所在する関東地区における派遣準備から、派遣国の宿営地を想定した饗庭野(あいばの)演習場(滋賀県)への空自輸送機、民間船舶などを使用した展開、現地における宿営地の設営、先遣隊から本隊への活動移行までを約1か月にわたり行った。
 本演習により、陸上部隊の迅速な海外展開能力を検証するとともに、参加者に先遣隊派遣に関するそれぞれの役割を体得させることができ、自衛隊の国際平和協力活動への迅速な対応能力を向上させることができた。今後も、自衛隊は国際平和協力活動への迅速な派遣態勢を維持・向上させるため、このような演習を継続的に行う予定である。
 
個人装備品を準備する隊員
 
C-130に搭乗する隊員

 

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