第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)日米共同訓練で活躍した隊員の声

統合幕僚監部 運用部 訓練班長 1等陸佐 野村 悟(のむら さとる)

 日米共同訓練は、日本の防衛や周辺事態などの各種の事態に対応するため、1)日米が相互に、またはそれぞれに取り決めている様々なメカニズムや計画、そして保有している装備などがしっかり機能するかどうかを確認すること、2)日米共同で各種の事態に対応するための能力を維持・向上すること、を主な目的としています。日米共同訓練と言えば、「日米両部隊の突撃と支援する戦車、艦艇、戦闘機・・・」が典型的なイメージかもしれません。しかし、大部隊の行動にともなう様々な制約などを回避しつつ、上級の司令部などが高いレベルの判断や意志決定を行い、行動に必要な事項を確実に遂行できるよう訓練する場合、部隊の実動をともなわない「指揮所演習」方式が採用されます。
 私は、統合幕僚監部運用部の訓練班長として、日米共同訓練の企画などを担当しており、平成21年1月に行われた「日米共同統合演習(指揮所演習)」においては、米軍横田基地に設けられた日米共同で演習統制を行う部署で、自衛隊側の責任者として約1週間連続して米軍とともに勤務しました。
 平素から会議や共同作業などを通して相互理解を深める努力をしていますが、実際に演習を行ってみると、同じ事象に接しても日米でその解釈や認識が異なっていることや、新たに検討すべきことなどを明らかにすることができました。このような各種の問題点などを速やかに解決するため、演習の直後に日米で研究会を開き、改善のために役立てました。
 日米両国を取り巻く環境は刻々と変化するため、定期的にこのような演習を行って日米が共同で対応しなければならない事態に備えることが必要です。「いざ」という時に日米両部隊が実際に採るべき行動を効果的に訓練して、機能と能力を高めることが日米安全保障体制の強化につながり、ひいては国民の皆様の期待に応えられるものと信じ、今後も職務に励みたいと考えています。
 
野村1佐と在日米軍担当者

 

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