第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)PAC-3発射試験に従事した隊員の声

第1高射群第4高射隊 射撃小隊 3等空曹 佐藤 健一(さとう けんいち)

 私は、弾道ミサイルによる攻撃などに対し、ペトリオットPAC-3により首都圏を防衛することを主な任務とする、第1高射群第4高射隊で勤務しています。
 ペトリオットPAC-3は、わが国のBMD対処の最終段階を担うシステムですが、その能力が最大発揮できることを確認するためには、実際にミサイルを発射して目標を迎撃する発射試験を行う必要があります。しかし、国内では演習場の制約のためミサイル発射ができず、米国で実射を行っています。
 昨年9月、わが国初のペトリオットPAC-3発射試験が、米国ホワイト・サンズ射場にて行われました。私は、日頃の訓練成果を発揮するため、この試験への参加を熱望した結果、希望どおり発射試験部隊の一員として参加することができました。
 わが国初の発射試験であり、また、米国での試験であったことから、克服すべき問題は数多くありましたが、部隊が一丸となって努力した結果、PAC-3ミサイルを見事目標に命中させることができました。この時の達成感は、今も忘れることはできません。また、発射試験の成功により、航空自衛隊の実力を国内のみならず世界にアピールできたと自負しています。
 弾道ミサイルをミサイルで迎撃することは、「ピストルの弾をピストルで撃ち落とすようなもの」とその難しさが表現されますが、実際には、弾道ミサイルなどを捉えるレーダー、弾道ミサイルの航跡を正確にはじき出す射撃管制装置、最終的には自ら弾道ミサイルを捕捉・命中するPAC-3ミサイルなどからなるペトリオットPAC-3を確実に運用することにより、極めて信頼性の高いBMD対処が可能となっていることを実感しました。
 今後は、今回のPAC-3発射試験を通じて得た知識、技能などを後輩などにも伝えていき、部隊の更なる精強化の一翼を担い、わが国のBMD対処能力向上に貢献していきたいと思います。
 
ペトリオットPAC-3と佐藤3曹
 
PAC-3ミサイル命中の瞬間

 

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