第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(解説)生物剤や放射性物質を使用したテロに備えた国民保護訓練

 防衛省・自衛隊は、関係機関相互の連携を強化し緊急対処事態における対処能力の向上を図るため、05(平成17)年以来、国民保護法に基づいて国や地方公共団体が行う国民保護共同訓練に参加してきている。
 特に近年、天然痘ウィルスなどの生物剤を使用したテロやセシウム137などの放射性物質を使用したテロも想定され、これらの物質を用いたテロへの対処能力の向上、関係機関との連携要領の確立などが喫緊の課題となっている。これらを検証するため、平成20年度においては、宮崎県および愛媛県における天然痘テロを想定した国民保護共同訓練、神奈川県におけるダーティボム(放射性物質を散布する爆弾)によるテロを想定した国民保護共同訓練に、陸・海・空自、地方防衛局などが参加した。
 これらの訓練を通じ、通常の災害発生時における警察や消防などとの連携に加え、生物剤を用いたテロにおいては、厚生労働省、保健所、国立感染症研究所、医療機関などの感染症について専門性を有する機関との協力や連携が、放射性物質を用いたテロにおいては、原子力安全委員会、文部科学省、放射線医学総合研究所などの放射線について専門性を有する機関との連携や協力が、対処するうえで重要であることを確認することができた。
 
愛媛県国民保護訓練の様子

 

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