(VOICE)ソマリア沖・アデン湾での海賊対処のための海上警備行動に従事する隊員の声
第22航空隊 2等海曹 廣田 真(ひろた まこと)
私は、護衛艦「さざなみ」搭載の哨戒ヘリコプターSH-60Kの航空士としてソマリア沖・アデン湾での海賊対処のための海上警備行動に従事しています。本年3月30日の第1回護衛時には、商船護衛のためのフライトに従事しました。
わが国から約6,500海里(約1万2,000km)離れた海上交通の要衝(ようしょう)であるアデン湾において、護衛艦「さみだれ」および「さざなみ」に前後を護衛された5隻の商船を上空から見渡した時、大きく感動したことを覚えています。
今回の任務における哨戒ヘリコプターの重要な役割の1つは、機動性を生かして、現場周辺の状況を迅速かつ正確に指揮官に報告することです。私の航空士としての主な業務は、双眼鏡、レーダー、赤外線暗視装置、デジタルカメラなどを用い、両手、両目、両耳を駆使して、海賊の疑いのある小型目標を探知し、その情報を母艦に報告することです。また、商船に近づく小型船舶に対しては、指向性大音響発生装置(LRAD:Long Range Acoustic Device)を用いて呼びかけを行うこともあります。
これまで、これらの装備を使って一所懸命訓練してきたため、与えられた任務の遂行についての不安は全くなく、むしろ欧州、中東およびアフリカ地域とわが国を行き来するわが国にとって重要な船舶を自ら直接護衛することができる今回の任務に従事でき、大きな誇りとやりがいを感じています。
フライト中には、国際VHFから「海賊らしい小型目標が近づいている。」などの内容の通信が流れてくることもあり、いつでも対応できるよう常に緊張感をもって任務についています。また、現場は気温が35℃を超える灼熱の日もあり、1回のフライトを終えると全身が汗びっしょりになります。
このように、毎回の飛行作業は肉体的にも精神的にも過酷ですが、護衛が終わり離れていく商船からの「ARIGATOU!!」というメッセージを見ると、その疲れも解消される思いがします。
わが国から遠く離れた海域での長期の行動であり、家族と離れる寂しさはありますが、アデン湾の満天の美しい星空を眺めてその寂しさを癒しつつ任務を完遂し、今回の行動で得た貴重な経験を、ヘリコプター航空士としての今後の勤務に役立てていきたいと考えます。