第III部 わが国の防衛のための諸施策 

7 東南アジア諸国との防衛交流

 東南アジア諸国は、わが国と中東地域や欧州地域とを結ぶ海上交通の要衝(ようしょう)を占める地域に位置するとともに、わが国と密接な経済関係を有しており、これらの国々と安全保障上の諸問題について対話を促進し、信頼・協力関係を増進させることは、双方にとって有意義である。
 浜田防衛大臣は、本年2月の第45回ミュンヘン安全保障会議に引き続き、同年5月の第8回IISSアジア安全保障会議において、シンガポールのテオ・チーヒン国防大臣と会談を行い、防衛交流覚書の策定作業の開始や海上の安全保障についての協力で一致した。また、同会議において、浜田防衛大臣はベトナムのタイン国防大臣と会談を行い、防衛交流覚書の策定作業の開始、相互訪問や教育分野などの交流の強化で一致した。本年2月、防衛省の招待で来日した東ティモールのピント国防担当国務長官が浜田防衛大臣への表敬などを行った。同年3月には浜田防衛大臣が来日したグスマン東ティモール首相兼国防・治安大臣と会談を行い、平成22年度以降の防衛大学校への東ティモールからの留学生受入れ、東京ディフェンス・フォーラムなどの国際会議を通じた防衛交流の促進などについて意見交換を行った。本年5月には、岸防衛大臣政務官がフィリピンおよびベトナムを訪問した。フィリピンでは、同国で開催されたARF(ASEAN Regional Forum)災害救援実動演習を視察するとともに、サントス国防次官との間で防衛交流発展の重要性について意見交換を行った。ベトナムではタイン国防大臣、ヴィン国防次官と日越防衛交流の方向性などについて意見交換を行った。
 
岸防衛大臣政務官とタイン・ベトナム国防大臣

 最近の主なハイレベルの交流は、図表III-3-2-2のとおり行われており、東南アジアとの交流は着実に進展している。
 
図表III-3-2-2 東南アジア諸国とのハイレベル交流(昨年以降)

 実務者レベルの防衛当局者間の定期協議も順調に行われており、安全保障・防衛分野での意見交換を通じて相互理解と信頼関係の増進に努めている。また、各種幕僚協議、研究交流、留学生の派遣・受入れ、艦艇の訪問を中心とした部隊間の交流なども着実に行われている。これらの交流は、地域の平和と安定に重要な役割を果たしうる多国間のネットワークを構築する基礎となっている。

 

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