第III部 わが国の防衛のための諸施策 

8 その他の諸国との防衛交流

 わが国は、前述の近隣諸国のほかにも、多くの国々との防衛交流を行っている。防衛省は、国際社会におけるテロとの戦いで重要な役割を担っているパキスタン、ゴラン高原で共に活動したカナダ、アジア太平洋諸国の一員であるモンゴル、イラクにおける自衛隊の活動で関係するクウェート、アラブ首長国連邦、さらには、その他のドイツやフランスなどの欧州諸国や北大西洋条約機構(NATO:North Atlantic Treaty Organization)をはじめ、多くの国々とハイレベルの交流、実務者レベルの協議、留学生の派遣・受入れなどを行っている。
 部隊間の交流では、国際平和協力活動の派遣先における部隊相互の交流、艦艇の訪問などを活発に行っている。
 最近の主なハイレベル交流は、図表III-3-2-3のとおりである。
 
図表III-3-2-3 その他の諸国などとのハイレベル交流(昨年以降)

 07(同19)年8月には小池防衛大臣(当時)が防衛大臣として初めてパキスタンを訪問し、ムシャラフ大統領(当時)、イクバール国防大臣(当時)などと会談し、テロとの闘いなどについて意見交換を行った。同年10月にはルクセンブルクのシルツ国防大臣が初めて訪日し、石破防衛大臣(当時)と会談を行うなど多数の国々との緊密な協調関係の構築を図っている。また、昨年5月には石破防衛大臣(当時)が訪日したニュージーランドのゴフ国防大臣と会談を行い、PSIにおける協力などについて意見交換を行った。ドイツとは、本年2月に浜田防衛大臣が第45回ミュンヘン安全保障会議の際に訪問し、ユング国防大臣と海賊対処問題、両国の防衛交流などについて意見交換を行った。同年3月には、ブッデ陸軍総監が訪日し、折木陸幕長(当時)と意見交換を行った。フランスとは、昨年7月に、フランス国防白書の説明のためにデュロン国防事務総長が訪日し、増田防衛事務次官などと意見交換を行った。同年6月には、アブアリル空軍参謀長が訪日したほか、本年5月には赤星海幕長がフランスを訪問し、ホリシエ海軍参謀長と意見交換を行った。昨年4月には防衛当局間協議を行ったほか、艦艇の相互訪問などが行われている。NATOとの関係では、近年、国際社会の安定と繁栄に向けた取組におけるパートナーとして、NATOとの政策対話と協力が進展しており、07(同19)年1月には安倍総理(当時)がNATOの意思決定機関である北大西洋理事会に、日本の総理大臣として初めて出席し、演説を行った。また、防衛大臣とNATO事務総長の相互往来が行われ、テロとの闘い、地域情勢について意見交換するとともに、価値を共有するパートナーとして協力を深化させ、日NATOの関係を政治的、実務的な面においてもさらに強化していくことで意見が一致している。実務レベルでは、日NATO高級事務レベル協議が継続的に行われている。モンゴルとは、本年5月、第8回IISSアジア安全保障会議において浜田防衛大臣がボルド国防大臣と会談し、北朝鮮情勢、両国の防衛交流などについて意見交換を行った。また、昨年5月には江渡防衛副大臣(当時)が防衛省のハイレベルとして初めてポーランドを訪問し、同国の国防省要人と意見交換を行い、同年9月にはノルウェー国防副大臣が訪日し、防衛政策、国際平和協力活動や地域情勢について意見交換を行った。
 
齋藤統合幕僚長(当時)とゴンゴル・ポーランド共和国軍参謀総長

 このようにわが国は、防衛交流を通じて、アジアおよび世界の平和と安定に重要な役割を果たしている。
(図表III-3-2-4 参照)
 
図表III-3-2-4 わが国の防衛交流(最近5年分)

 

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