第III部 わが国の防衛のための諸施策 

6 日英防衛交流

 英国は、欧州のみならず世界に影響力を有する大国としてわが国と深い関係を有しており、安全保障面でも米国の重要な同盟国としてわが国と戦略的利害が一致している。このような観点から、英国との間で防衛交流を進めて協力の基盤をつくり、テロ対策や海賊対策などのグローバルな課題や地域情勢などに関する情報交換を通じ、より効果的な協調、協力を図ることは、双方にとって重要である。
 04(同16)年1月、石破防衛庁長官(当時)とフーン英国防大臣(当時)との間で、両国の各分野での防衛交流を発展させていくための「防衛協力に関する覚書」が署名され、あらゆるレベル、さまざまな分野で交流を進めていくことが確認された。

(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
 06(同18)年1月、額賀防衛庁長官(当時)が訪英し、リード英国防大臣(当時)と会談を行い、日英のハイレベル・実務レベルでの防衛交流が進んでいることを確認するとともに、イラクの治安部隊育成の進捗状況や、治安権限移譲などのプロセスについて意見交換した。
 また、本年2月の第45回ミュンヘン安全保障会議の際、浜田防衛大臣とハットン英国防大臣が会談を行い、海賊対策などについて協力していくことで一致したほか、同年5月の第8回IISSアジア安全保障会議において、テイラー英国防政務官が浜田防衛大臣を表敬し、海賊問題、北朝鮮への取組について認識を確認した。日英通商修好条約締結150周年となった昨年3月にはトーピー英空軍参謀長が来日し、田母神空幕長(当時)と意見交換を行い、本年5月には赤星海幕長が訪英し、バンド第1海軍卿と海賊対策などについて意見交換を行った。
 
スティラップ英国防参謀総長と折木統合幕僚長

(2)防衛当局者間の定期協議など
 局長・審議官級の日英防衛当局間協議が活発に行われており、07(同19)年6月には日英外務・防衛当局者協議および防衛当局間協議を行い、相互に防衛政策やイラク問題などについて意見交換を行ったほか、同年6月から昨年1月にかけて統幕、陸幕、海幕および空幕がそれぞれ英国防省のカウンターパートとの協議を行った。また、昨年10月には、第5回防衛当局間協議および第10回スタッフ・トークス(統幕と英国防省の協議)を行い、両国の防衛政策、地域情勢、防衛交流などについて率直な意見交換を行った。本年3月には、陸幕がスタッフ・トークスを行い、国際平和協力活動、防衛交流などについて率直な意見交換を行った。
 また、05(同17)年から平和支援活動(PSO:Peace Support Operations)セミナーを随時開催し、日英両国がこれまでそれぞれの国際平和協力活動の経験を踏まえた意見交換や知見の共有を行っている。

(3)部隊間の交流など
 英国軍が、イラク・ムサンナー県に部隊を展開して以降、04(同16)年1月から部隊を展開していた陸自14は、イラク・サマーワにおいて部隊間の交流を活発に行った。


 
14)陸自部隊は、06(平成18)年9月にイラクから撤収を完了している。


 

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