第III部 わが国の防衛のための諸施策 

3 国連ネパール政治ミッション

(1)UNMINへの派遣の経緯など
 ネパール政府とマオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)は政権奪取を目的とした内戦状態であったが、06(同18)年5月、新政府誕生による累次の和平交渉により、同年11月「恒久平和の実現に向けた合意文書」に署名、その後、紛争終結を含む包括和平合意が成立した。
 ネパール政府からの要請および事務総長勧告に従い、07(同19)年1月、国連安保理決議第1740号により国連ネパール政治ミッション(UNMIN:United Nations Mission In Nepal)が設立された。昨年4月には、ネパールの制憲議会選挙が行われ、王制から連邦民主共和制へ移行するなど、ネパールの和平プロセスは一定の進展を見せているものの、国軍とマオイスト兵との統合問題などの課題が残されていることから、本年1月には、ネパール政府からの要請を受け、UNMINの活動は本年7月23日まで再延長された。
 ネパールは中国とインドに挟まれた要衝(ようしょう)に位置し、同国の安定は、アジア地域全体の安定にとって重要である。
 わが国は、国連からUNMINへの軍事監視要員の派遣を要請されたことを受け、政府は閣議により派遣を決定し、07(同19)年3月から陸上自衛官6名を派遣した。昨年3月には第2次軍事監視要員6名が第1次要員と、本年3月には第3次軍事監視要員6名が第2次要員と交代し、引き続き軍事監視任務を継続している。なお、現地関係機関などと連絡調整・情報収集を行うため防衛省および内閣府国際平和協力本部事務局から連絡調整要員をそれぞれ2名派遣している。
(図表III-3-1-9 参照)
 
図表III-3-1-9 UNMINにおける軍事監視要員配置場所

(2)派遣隊員の活動
 UNMINへの軍事監視要員の派遣にあたっては、国連の規定に従い、武器は携行していない。また、それまでの国連平和維持活動への自衛官の派遣では、部隊とともに停戦監視要員や司令部要員が個人として派遣されたが、UNMINに対しては軍事監視要員のみが個人単位で派遣されている。
 派遣隊員は、7か所のマオイスト・キャンプおよびネパール国軍の兵舎において、武器および兵士の管理の監視などを行っている。
 派遣隊員の高い規律心・責任感、リーダーシップ、誠実な職務の遂行などは、現地の国連、諸外国のUNMIN軍事監視要員などから高く評価されている。
 
UNMINにおいて武器の管理状況を点検する陸自隊員

 

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