2 国連スーダン・ミッション
(1)UNMISへの派遣の経緯など
スーダンにおいては、05(同17)年1月、スーダン政府とスーダン人民解放運動が南北包括和平合意(CPA:Comprehensive Peace Agreement)に署名し、これを受けて設立された国連スーダン・ミッション(UNMIS:United Nations Mission In Sudan)がCPA履行支援、停戦監視などを行っている。UNMISは、停戦監視などを行う軍事部門に加え、選挙支援や人道支援調整を行う文民部門を有し、その規模は約1万人近くに及ぶ多機能かつ大規模な国連平和維持活動である。
昨年6月、福田総理(当時)は潘基文(パン・ギムン)国連事務総長と会談し、共同記者発表において、UNMIS司令部要員として自衛隊員を派遣することを表明した。これを受け、政府は、同年10月3日、閣議によりUNMIS司令部へ自衛官を派遣することを決定し、同年10月24日にUNMIS司令部要員として自衛官2名が派遣された。また、在スーダン日本国大使館に防衛駐在官として自衛官1名が派遣され、UNMIS司令部要員の活動を支援している。
なお、本年4月には第2次司令部要員2名が第1次要員と交代し、引き続き任務を継続している。
スーダンは、アフリカ最大の国であり、9か国と国境を接していることから、スーダンの安定は、アフリカ全体の安全保障環境の改善につながるとともに、スーダンには、かつてアルカイダなどが拠点を置いていたこともあり、UNMISへの自衛官派遣によりスーダンの安定に向けた国際社会の取組にわが国が主体的、積極的に関与することは、テロとの闘いおよびわが国の安全保障の観点から極めて有意義なものである。また、アフリカの諸問題には、G8のほかアジア太平洋諸国も関与を深めており、UNMISへの参加はわが国のこれらの国々との連携強化にも寄与するものである。さらに、UNMISへの参加により、自衛隊の今後の国際平和協力への取組の幅を拡げることができ、また、人材育成や自衛隊の実践的な能力向上という観点からも有益である。
(図表III-3-1-8 参照)