第III部 わが国の防衛のための諸施策 

4 海上自衛隊の部隊による補給支援活動

 海自は、補給支援特措法に基づき、昨年2月、インド洋において補給活動を再開した。補給支援活動としては、テロ対策海上阻止活動に参加する各国の艦船に対し、艦船用燃料、艦艇搭載ヘリコプター用燃料および水の補給を行っており、本年5月末現在の補給回数は、艦船用燃料が105回、艦艇搭載ヘリコプター用燃料が14回、水が47回である。
(図表III-3-1-5 参照)
 
図表III-3-1-5 艦艇派出状況表(昨年6月から本年5月まで)

 テロ対策海上阻止活動は、アメリカのみならず世界各国が取り組んでいるものであり、現在、給油量の約8割がアメリカ以外の欧州諸国や、イスラム教国であるパキスタンなどに提供されている8。このように、海自の補給支援活動は、国際社会のテロに対する取組に対する支援である。
 なお、本年4月27日、昨年2月の活動再開から通算して100回目の補給がフランス艦艇に対して行われた際には、当該フランス艦艇の艦橋には謝意を表した横断幕が掲げられた。
 
テロ対策海上阻止活動を行うフランス海軍フリゲート艦「ACONIT」に第100回目の補給支援を行う補給艦「ときわ」(右側)
 
「ACONIT」の艦橋に掲げられた謝意を示す横断幕

 補給支援活動の実施にあたっては、わが国が補給した燃料などが、補給支援特措法の趣旨に沿って適正に使用されるように、以下の措置をとっている。

(1)交換公文の締結
 旧テロ対策特措法下における補給活動を行うに際しても、わが国は補給対象国との間で交換公文を締結していたが、補給支援特措法に基づく補給活動を行うに際しても、補給対象国との間で交換公文を締結9している。
 交換公文には、補給支援特措法の目的が明記されるとともに、わが国政府と相手国政府が交換公文の効果的な実施のために協議する旨規定され、海自部隊により補給された燃料などが、同法の趣旨に沿って、適正に使用されるものであることを一層明確にしている。
 さらに、このような交換公文の内容については、締結までの間の調整過程において各国に繰り返し説明を行い、各国も十分理解した上で締結している。

(2)バーレーンの連絡官による確認作業
 バーレーンのコアリション司令部に派遣された海自の連絡官が、補給の都度、補給対象艦船の行動予定などを把握しながら、当該艦船が補給支援特措法に規定するテロ対策海上阻止活動にかかわる任務に従事しているかを確認する。
 さらに、その際には、補給日時、補給対象艦船の名称・配属部隊、補給量や今後の活動予定などの確認事項について定型化されたフォーマットに記入し、記録する(これまで行われてきた確認を文書化)。
 また、補給の実施の適否について、部隊での判断が困難な場合には、防衛大臣が最終的に判断する。


 
8)<http://www.mod.go.jp/j/news/hokyushien/index.html>参照

 
9)昨年2月に米、英、パキスタン、仏、独の5か国と交換公文を締結した。また、同年3月にはカナダと、同年4月にはニュージーランドと、同年9月にはデンマークとそれぞれ交換公文を締結した。


 

前の項目に戻る     次の項目に進む