第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 わが国の取組

 国際社会が一致してテロに対する取組を進めている中で、わが国としても、各国と連携しつつテロ対策を強化する必要があり、さまざまな分野での取組4を行ってきている。
 その中でも、01(同13)年12月以降、海自はインド洋において、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどのほか、イスラム教国であるパキスタンなど、テロ対策海上阻止活動を行っている各国艦艇に対する洋上での補給活動を行っている。この補給活動により、各国艦艇は燃料補給のために港に戻ることなく広範な海域において活動を継続することが可能となることから、テロ対策海上阻止活動を効率的・効果的に行う上での重要な基盤となっており、国際社会からも高い評価を受けている。07(同19)年9月に採択された国連安全保障理事会決議第1776号5においては、この海上阻止活動を含む不朽の自由作戦への多くの国の貢献に対して評価が表明され、昨年9月に採択された国連安全保障理事会決議第1833号でも改めて評価が表明されている。
 洋上での補給活動は、補給を行う船と補給を受ける船が、長時間並んで航行しながら行うもので、高い技術と能力が必要とされるが、このような洋上での補給を長期間、安定的に供給できる国は限られており、海自による洋上での補給活動は、わが国に相応しい貢献であると言える。同時に、こうした海自の活動は、この地域の平和と安全に貢献し、エネルギー資源の多くを中東地域に依存するわが国の国益にも資するものである。
 約6年にわたって旧テロ対策特措法に基づき行ってきた海自による洋上での補給活動は、各国からも高い評価を受け、活動の継続が強く望まれたものであったにもかかわらず、07(同19)年11月に同法が失効したことにより、補給活動を一旦中断せざるを得なくなったが、上記のような観点から、昨年1月、国会において補給支援特措法が成立したことを受けて、自衛隊は速やかにインド洋に海自艦艇を派遣し、同年2月以降、補給活動を行っている。


 
4)わが国は、出入国管理、テロ関連情報の収集・分析、ハイジャックなどの防止対策、NBC攻撃への対処、国内重要施設の警戒警備、テロ資金対策などの分野を中心にテロなどの未然防止に関する諸施策などを推進している。さらに、政府は04(平成16)年12月に、16項目の具体的措置を含む「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、紛失盗難旅券情報の国際的共有、出入国管理の強化、スカイ・マーシャルの導入、外国人宿泊客の本人確認強化、テロに使用されるおそれのある物質の管理強化、情報収集能力の強化などに取り組んでいる。

 
5)07(平成19)年9月19日に採択された国際治安支援部隊(ISAF)を昨年10月13日まで延長することを主な内容とする安保理決議。この決議において、「不朽の自由作戦」(OEF)への各国の貢献に対する評価が表明された。なお、昨年9月に採択された決議第1833号は、決議第1776号におけるISAFの活動権限を1年間延長するものである。


 

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