第III部 わが国の防衛のための諸施策 

3 国際テロ対応のための活動

1 国際社会の取組

 01(平成13)年の9.11テロ以降、国際社会は、軍事のみならず、外交、警察・司法、情報、金融などのさまざまな分野においてテロとの闘いを続けてきている。しかしながら、アルカイダなど国際テロ組織の関与が疑われるテロ事件1が世界各地で引き起こされるなど、テロの脅威は依然として存在しており、その撲滅には国際社会の一致した長期にわたる取組が必要である。
 中でも、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯には、アルカイダなどの活動拠点が存在しているといわれ、また、アフガニスタンが依然としてテロリストの資金源となる麻薬の生産拠点にもなっていることから、米軍をはじめとする各国は、アルカイダやタリバーン勢力の掃討作戦(「不朽の自由作戦」(OEF:Operation Enduring Freedom))を遂行している。
 これらの地域では、多くの国がアフガニスタン本土におけるOEFに部隊などを派遣し、陸上での掃討作戦などテロを撲滅する活動を行っているが、テロリストや麻薬、武器などの密輸に関与しているグループなどの一部は、山岳地帯などを経由して、海上に逃れるとともに、船舶などを利用して、中東やアフリカ、ヨーロッパ、東南アジアなど広範に移動し、活動を行っていると見られている。
(図表III-3-1-3 参照)
 
図表III-3-1-3 海上自衛隊の主な補給場所とテロリスト、武器の流れの概要(イメージ)

 このようなテロリストや武器・弾薬、資金源となる麻薬などの海上輸送を阻止、抑止するため、現在、インド洋において欧米諸国やパキスタンなどの艦艇により、テロ対策海上阻止活動2が行われており、これらの艦艇は、不審な船などに対する無線照会や乗船検査を行い、大量の麻薬や小銃・携帯用対戦車ロケットなどを発見・押収するなどの成果をあげている。
 また、国際社会は、アフガニスタンを再びテロの温床にしないとの観点から、国際治安支援部隊(ISAF:International Security Assistance Force)による活動などにより、治安の維持や復興支援を行っている3


 
1)バリ(05(平成17)年10月)、ヨルダン(アンマン、05(同17)年11月)、アルジェ(07(同19)年12月)

 
2)テロ対策海上阻止活動とは、諸外国の軍隊などが行っているテロ攻撃による脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動のうち、テロリスト、武器などの移動を国際的協調の下に阻止しおよび抑止するためインド洋上を航行する船舶に対して検査、確認その他の必要な措置を執る活動をいう。

 
3)本年6月8日現在、アフガニスタンを再びテロの温床としないとの観点から、42か国がアフガニスタンの治安維持を通じて、アフガニスタン政府の支援を行うISAFに参加している。


 

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