2 わが国の国際平和協力活動の変遷
湾岸戦争は、わが国による国際協力における軍事面での人的貢献の必要性について認識させられる大きな転換点となる出来事であった。湾岸戦争後の91(同3)年、わが国の船舶の航行の安全を確保するため、海上自衛隊の掃海部隊がペルシャ湾に派遣された。これは、被災国の復興という平和的、人道的な目的を有する人的な国際貢献策の一つとしての意義を有していた。また、翌92(同4)年には、国際平和協力法
3が制定され、同年9月、初の自衛隊による国連平和維持活動として、陸上自衛隊の施設部隊がカンボジアに派遣された。以来、防衛省・自衛隊は、さまざまな国際平和協力活動などに参加している。
こうした中、01(同13)年の9.11テロを受けて、旧テロ対策特措法
4が制定された。同法は、07(同19)年11月に失効し、海自のインド洋での補給活動は中断したが、昨年1月には補給支援特措法
5が制定され、昨年2月以降、海自はインド洋において再び補給活動を行っている。
03(同15)年にはイラク特措法
6が制定され、陸自は、イラクのサマーワにおいて医療、給水、学校・道路など公共施設の復旧・整備を行い、空自はクウェートを拠点にイラク国内への人道復興関連物資などの輸送を行った。
自衛隊のこれらの国際平和協力活動への参加は、わが国を含む国際社会の平和と安全の維持に資するとともに、国連などの国際機関、諸外国の軍隊などと共に活動することにより、自衛隊の能力を示す機会にもなり、わが国に対する信頼向上に資するという側面も有している。
(図表III-3-1-2 参照)