第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 わが国の周辺地域の平和と安定の確保

 日米安保条約第6条においては、米軍に対するわが国の施設・区域の提供の目的として、「日本国の安全」とともに、「極東における国際の平和と安全の維持」があげられている。これは、わが国の安全が、極東というわが国を含む地域の平和と安全と極めて密接な関係にあるとの認識に基づくものである。
 わが国の周辺地域には、冷戦終結後も北朝鮮による大量破壊兵器やミサイルの開発・配備、朝鮮半島における同一民族の分断、台湾をめぐる問題など、不安定な要素が依然として存在している。こうした安全保障環境において、わが国における米軍の駐留を含め、日米安保体制を基調とする日米両国間の緊密な協力関係は、わが国の周辺地域の平和と安定にとって必要な米国の関与を確保する基盤となっている。また、このような体制は、韓国やフィリピンなど地域諸国と米国の間で構築された同盟関係や、その他の国々との友好関係とあいまって、冷戦終結後も、この地域の平和・安定の確保に重要な役割を果たしている。

 

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