第III部 わが国の防衛のための諸施策 

第1章
わが国の防衛のための自衛隊の運用と多様な事態への対応

第1節 武力攻撃事態等への対応のための枠組など

 02(平成14)年の小泉総理(当時)の施政方針演説における「有事に強い国作りを進めるため」に具体的な法整備を進めるとの方針を受け、03(同15)年に事態対処関連3法が成立し、翌04(同16)年に事態対処法制関連7法が成立したほか、関連3条約の締結が承認され、有事法制1の基盤が整えられた。これらの法制整備には、防衛庁(当時)が77(昭和52)年から進めていた、いわゆる「有事法制の研究」の成果が多く反映されている。
(図表III-1-1-1 参照)
 
図表III-1-1-1 有事法制の全体像

 わが国に対する武力攻撃など、国や国民の平和と安全にとって最も重大な事態についてのわが国の対応の枠組や、これに基づく自衛隊の運用体制の確立などは、武力攻撃事態等(武力攻撃事態2および武力攻撃予測事態3)における実効的な対応を可能とし、わが国に対する武力攻撃などの抑止にも資するものである。また、武力攻撃事態等への自衛隊の対応における文民統制の貫徹の観点からも重要である。
 本節では、武力攻撃事態等が生起した場合の、わが国の対応の枠組と、それに基づく自衛隊の運用体制について、その概要を説明する。


 
1)「有事法制」については、必ずしも概念として定まったものがあるわけではなく、かつて自衛隊法第76条の規定により防衛出動を命ぜられるという自衛隊の行動にかかわる法制についての研究が「有事法制の研究」として行われるなど、多義的である。本白書では、有事法制と用いる場合、03(平成15)年以降に整備された事態対処関連法制を指す。

 
2)わが国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態

 
3)武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態


 

前の項目に戻る     次の項目に進む