第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

2 海洋政策に関する取組

1 海洋基本法に基づく取組

 わが国周辺海域をはじめとする海洋をめぐる諸情勢を背景に、海洋国家であるわが国としても、海洋の平和的かつ積極的な開発および利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要であることにかんがみ、わが国の経済社会の健全な発展および国民生活の安定向上を図るとともに、海洋と人類の共生に貢献することを目的に、07(平成19)年7月に海洋基本法1が施行され、海洋に関する施策を集中的かつ総合的に推進する体制として、内閣に総合海洋政策本部が設置された。
 同法に基づき、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、海洋に関する諸施策についての基本的な方針を定めた海洋基本計画2が、昨年3月に閣議決定され、海洋の安全確保の観点から行われる周辺海域などにおける秩序の維持、海上交通の安全に関する取組および海洋由来の自然災害への対策、さらには海上輸送の確保など、わが国の安全保障上も極めて重要な施策が盛り込まれた。
 総合海洋政策本部においては、わが国の排他的経済水域などにおける調査への対応、自衛隊の活用を含めた海賊対策について、法制面の検討が行われており、防衛省は、関係省庁と連携して、実効性ある法制のあり方について検討に参画している。また、同本部においては、海洋調査データの一元化、離島の保全・管理のあり方などについての関係省庁間の調整方針の検討が行われており、防衛省としても、関連分野で行っている業務を他省庁とより緊密に連携して行えるよう検討に参画している。
 海洋基本計画に、新たな海洋立国を支える人材の育成、海洋安全確保のための艦艇、航空機などの計画的な整備および不審船にかかる共同対処マニュアルに基づく訓練の実施などを推進する旨が規定されたことを踏まえ、防衛省は、本年度には、1)防衛大学校の海洋法担当教授の増員による人材育成の強化、2)護衛艦、特別機動船3、回転翼哨戒機などの海上の安全確保のための装備の整備、3)不審船対処にかかる共同訓練といった海上保安庁との連携強化などに取り組んでいる。
 
特別機動船(SB)


 
1)<http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/about2.html>参照

 
2)<http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/kihonkeikaku/>参照

 
3)従来の内火艇に替えて護衛艦に搭載する、より高速力を発揮でき、運用能力の高い複合型高速船(RHIB:Rigid Hull Inflatable Boat)のこと。


 

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