第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

3 タイ

 タイは、柔軟な全方位外交政策を維持しており、東南アジア諸国との連携や、わが国、米国、中国といった主要国との協調を図っている。タイの国防戦略は、安全保障協力、総力防御、積極防御の3つの柱から成り立っており、近隣諸国との緊密な協力、国防能力の整備、軍・国防省の改革を進めている。
 米国との関係については、冷戦期からの協力の積み重ねにより、良好な関係が築かれており、50(昭和25)年に米国と軍事援助協定を締結して以降、米国との協力関係を維持し、82(同57)年より合同軍事演習「コブラ・ゴールド」を行っている。同演習は、00(平成12)年以降、多国間演習となり、内容も人道支援活動、災害救援など戦闘目的以外の項目についての訓練も含まれている5
 また、03(同15)年には、米国が主導するテロとの闘いに積極的に参加していることを評価して、米国はフィリピンとタイを「主要な非NATO同盟国(Major Non-NATO Ally)」6に指定するとともに、日本、韓国、オーストラリアとともに、両国はアジアにおける平和と安定の基礎をなしていると米国は評価している7


 
5)本年2月の同演習には、タイ、米国、日本、シンガポール、インドネシアなどが参加し、防衛省・自衛隊からは約80名が参加した。

 
6)「主要な非NATO同盟国」とは、米国の「1961年対外支援法」と「1987年ナン修正法」により定められたもので、指定国に対し装備品の譲渡など、軍事面での優遇措置を与えるもの。米国との緊密な軍事協力関係を示す象徴的意味合いも大きい。タイとフィリピンのほかには、日本、オーストラリア、イスラエル、韓国、バーレーン、クウェート、パキスタンなど14か国が指定されている。

 
7)ネグロポンテ米国務副長官(当時)のアジア太平洋評議会での講演(昨年4月11日)


 

前の項目に戻る     次の項目に進む