第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

4 アジア諸国との関係

 ロシアは、アジア太平洋地域の意義が増大し、シベリアおよび極東の経済開発や対テロ、安全保障の観点からも重要としている18。現在、シベリアの石油を極東方面に運ぶパイプラインの事業化計画やサハリンの天然ガス開発などを進めている。ロシアにとっては、これらの地下資源の開発や地域の経済・社会基盤活性化のためにも、わが国や中国などのアジア太平洋地域の国々との経済関係の強化が重要である。このため、ロシアは、対外政策においてもアジア太平洋地域の国々との関係を重視し、アジア太平洋経済協力(APEC:Asia-Pacific Economic Cooperation)19、ASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)、上海協力機構(SCO:Shanghai Cooperation Organization)(3節3参照)などの地域的な枠組へ参加してきているほか20、04(平成16)年、東南アジア友好協力条約(TAC:Treaty of Amity and Cooperation in Southeast Asia)に加入した。また、昨年5月、メドベージェフ大統領は、就任直後に中国を訪問し、昨年7月には北海道洞爺湖サミット出席のため訪日するなど、アジアにおいて活発な首脳外交を行った。


 
18)「ロシア連邦対外政策構想」による。(昨年7月発表)

 
19)ロシアの提案により、12(平成24)年のAPEC首脳会議をウラジオストクで開催予定である。

 
20)07(平成19)年8月、SCOの対テロ合同演習「平和の使命2007」が行われた。


 

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