第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

第4節 複雑で多様な地域紛争と国際社会の対応

1 全般

 近年、世界各地で発生している地域紛争の性格は必ずしも一様ではなく、民族、宗教、領土、資源などのさまざまな問題に起因し、それぞれの地域において重層的に絡み合っているものもあり、その態様も、武力紛争から軍事的対峙(たいじ)の継続までさまざまである。さらに、気候変動のような地球規模の問題による影響が紛争の要因になる可能性もあるという指摘もあり、また、紛争にともない発生した人権侵害、難民、飢餓、貧困、テロなどが国際問題化する場合なども見られる1。そのため、国際社会にとっては、このような複雑で多様な紛争の性格を見極め、それぞれの性格に応じた国際的枠組や関与のあり方を検討し、適切な対処を模索することがより重要となっている。
(図表I-1-4-1 参照)
 
図表I-1-4-1 主な紛争・対立地域


 
1)07(平成19)年4月、安保理において、気候変動が安全保障に与える影響を検証するための公開討論会が開催され、非理事国を含む55か国が参加するなど、近年、気候変動が安全保障環境に影響を与え得るとの認識が急速に共有されつつある。


 

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