イラク駐留多国籍軍のマンデートは、07(平成19)年12月に採択された安保理決議第1790号により昨年末まで延長されたが、それ以降の多国籍軍の活動のあり方などについては、イラク政府と米国などの関係国との間で議論が行われてきた
1。その結果、昨年11月、イラク国民議会は、イラクにおける米軍の一時的な駐留、活動および撤退などを規定する米国との協定案などを採択し、本年初めに発効した
2。このほか、イラク政府は、英国、豪州などとも同様の協定を締結している。
このような情勢の変化を受け、各国は派遣部隊を撤収またはその規模を大幅に縮小してきており、昨年11月の時点では21か国が合計約15万人の部隊をイラクに派遣していたが、同年末までに、米国などを除き多くの派遣国が部隊を撤収した。米国は、07(同19)年1月以降に増強した部隊規模を昨年7月までに削減したほか、本年2月までに約8,000人を削減した
3。本年1月に就任したオバマ米大統領は、同年2月、10(同22)年8月末までにイラクにおける米軍部隊による戦闘任務を終了させると発表した。
1)07(平成19)年12月に安保理に提出された多国籍軍の駐留延長を要請する文書において、マーリキー・イラク首相は多国籍軍のマンデート延長を要請するのは今回で最後になると考えている旨表明した。
2)この協定には、本年6月末までの米軍戦闘部隊のイラク都市部などからの撤退、11(平成23)年末までのすべての米軍部隊のイラク領内からの撤退などが規定されている。