第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)砕氷艦「しらせ」乗員の声

海上自衛隊 砕氷艦「しらせ」 海曹長 松本美彦(まつもとよしひこ)
(現所属:横須賀基地業務隊補充部付)


 私は、今回で南極地域観測協力行動は3回目の参加です。76(昭和53)年、海に憧れて海上自衛隊に入隊し5年後の81(昭和58)年(第25次)に現「しらせ」の処女航海に参加することが出来ました。最初は見るもの全てが珍しく、感激のまま月日が過ぎたような気がします。
 一昨年、23年振りに「しらせ」に乗艦し南極に着いたときには、様変わりした昭和基地に目をみはりました。特にハイテク装置が多く、情報収集では国内と変わらないくらい進歩していました。23年前は、衛星電話と電報があったぐらいで、5か月後帰国した時などはニュースや芸能情報に戸惑いを感じたものです。
 「しらせ」の主任務は昭和基地への物資輸送で、その他に、昭和基地における基地作業支援、野外観測支援、洋上における海洋観測支援などがあります。これらの作業は全て定められた期間内に完了しなければならないので、毎日の天候が一番の気がかりとなります。「しらせ」が活動する期間、南極は一応夏ですが、最低気温はマイナス10℃を超えることもあり、各種作業における防寒対策もかなりのものになります。また、屋外の作業は、紫外線が強いためサングラスなしでは目を痛めたり、日焼け防止対策もしないと、数時間で雪焼けになったりといろいろ障害も出てきます。乗組員はそれらを克服しながら任務達成に向け、毎日頑張っています。
 「しらせ」後継艦は本年4月に進水し、物資のコンテナ化、大型輸送ヘリの搭載など、現「しらせ」以上に輸送能力の効率化が図られます。また、観測隊の収容人数も現60名から80名となり、研究観測、基地設営など大きく進展すると思います。今後も南極地域観測協力支援において国民の期待に添えるよう、また、「ふじ」「しらせ」と40年以上にわたり先輩達が築き上げてきたよき伝統が引き継がれて行くものと確信しております。
 
松本美彦海曹長
 
砕氷艦「しらせ」

 

前の項目に戻る     次の項目に進む