第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)新入隊員の声(海自航空学生)

海上自衛隊 第201教育航空隊 航空学生 2等海曹 井上智晴(いのうえともはる)


 私は、山口県下関市にある海上自衛隊小月航空基地で、航空学生として操縦教育を受けています。
 私は、幼少の頃から飛行機が大好きで、ずっと飛行機、大空に憧れを抱いておりパイロットになることが夢でした。しかし、1度目と2度目の航空学生の試験は合格をすることができませんでした。その理由は、私の視力不足にありました。しかし、私は諦めることなく、3度目の受験に臨みました。すると3度目の受験の際には視力の制限が大きく緩和され、ついに私は念願の航空学生に合格することができたのです。
 この経験から、「夢は諦めなければ実現させることができる。」ということを学びました。
 航空学生の課程は、入隊後の約2年間を小月教育航空隊において過ごし、数学や英語、物理といった基礎学力や海上自衛官として必要な体力および精神力を身に付けます。
 この2年間を終了すると、いよいよ第201教育航空隊での操縦教育が始まります。そして今、私は第201教育航空隊で、夢を実現するための第一歩である操縦訓練に励んでいます。ここでは、まず飛行機に慣れ、一人で離着陸できることを身に付けなければなりません。
 そして、初めて操縦桿を握って、わずか20時間程度で単独飛行を経験します。単独飛行では、頼りになる教官は同乗していません。単独飛行に出ることができる喜びと、飛行機の運航の責任はすべて自分にあるというプレッシャーの中でフライトを行います。しかし、単独飛行で青い大空を独り占めしたとき、今までの苦労が苦労でなくなっていきます。私が初めて単独飛行に出た日の感動は今でも忘れることができません。
 その後は、アクロバット飛行や計器飛行、航法、編隊飛行を行います。先日の航法訓練では、郷里の上空を飛行することができました。自分の育った町の上空を自分の操縦で飛行できるなど夢にも思っておらず、大きな感動を得ました。
 このような感動を体感できるのも教官方の親身な教育のおかげと考えます。時には厳しい指導もありますが、それは命にかかわることだからです。
 私は、希望どおり固定翼操縦士に要員区分されました。1日でも早く一人前のP-3Cのパイロットとなり、日本の海上防衛の最前線で活躍できるよう、これからも訓練に励んでいきたいと思います。

 
操縦席の井上2曹

 

前の項目に戻る     次の項目に進む