第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)新入隊員の声(陸自一般幹部候補生)

陸上自衛隊 第1高射特科群 3等陸尉 土屋垣内 晶(つちやがいと あき)


 あなたは今、輝いていますか?
 私は今、北海道の陸上防空の一翼を担う第一高射特科群で勤務しています。
 思い起こせば約1年前、ふと目にした「守りたい人がいる」というキャッチフレーズに心魅かれ、私は、自衛官としての第一歩を踏み出しました。人の役に立つ仕事は世の中にたくさんありますが、日本の平和と独立を守り、国民のみなさんを守るという陸上自衛隊の任務は、私にとって大きな魅力でした。
 大きな夢と希望を抱いて、幹部候補生学校に入校しましたが、最初は慣れない生活に戸惑うことばかり。自分の未熟さや理想と現実とのギャップにくじけそうになることもありました。それでも、悩んでいる暇などなく、数々の訓練に100km徒歩行進を含む総合演習など、さまざまな伝統行事が私たち候補生を鍛えてくれました。1つ1つ目の前の山を乗り越えていくうちに、自分が少しずつ成長していることに気づき、その成長を感じるとき、そこにはいつもかけがえのない同期と見守ってくださる指導部の存在がありました。
 昨年12月、私は幹部候補生学校を卒業し、約3か月という短い期間ではありましたが、陸上自衛隊の骨幹をなす普通科職種で隊付教育を受けました。北海道は釧路の第27普通科連隊で、格闘訓練、各種射撃訓練、市街地戦闘訓練、スキー行進や冬季検閲など、普通科隊員の一員として訓練に参加し、部隊の実情と戦闘員精神を目の当たりにしました。第27普通科連隊で培った「戦闘員精神」は、今後も私の中に生き続けることでしょう。
 今年の3月、私は、熱望していた高射特科部隊で勤務することになり、3等陸尉に任官しました。自衛官として、一人の戦闘員であることはもちろんですが、今後は幹部として、部隊の団結の核心となっていくことが求められます。陸上自衛隊は、人と人とのつながりを大事にする組織です。私自身も、人と人との関係の中で、人は理屈だけで動かされるのではなく、感情によってつき動かされることも多々ある、ということを日々感じています。まだ知識も経験も少ない私が、幹部として隊員を統率していくには、何が必要なのでしょうか。迷ったとき、私がいつも思い出すのは、幹部候補生学校での恩師の要望事項であった「情熱と誠」という言葉です。幹部として、戦略的・戦術的思考が欠かせないのは言うまでもありませんが、「情熱と誠」を胸に、己の使命を自覚し、1人1人の隊員を愛することが、部隊の団結につながるのだと思っています。
 女性自衛官は数も少なく、幹部となればその道は険しいものかもしれません。それでも、これまで多くの女性自衛官が活躍していますし、今後も女性が輝ける道は拓かれています。部隊の華として、私自身が輝き続けることが部隊の団結を強化し、ひいては精強な部隊の育成につながるのだと、私は信じています。
 
スキー行進訓練を行う土屋垣内3尉
 
武装障害走を行う土屋垣内3尉

 

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