(VOICE)多国間海上共同訓練(マラバール)に参加した隊員の声
海上自衛隊 第6航空隊 2等海尉 坂崎大樹(さかざきだいき)
(現所属:第3航空隊)
私は海上自衛隊の固定翼哨戒機(P-3C)の操縦士です。昨年9月、P-3C部隊として初めてインドの地へ着陸し、多国間海上共同訓練マラバール07-2に参加しました。
P-3C部隊としては初のインド進出ということもあり、気候や習慣の異なる地での訓練参加にはいくつか難しいことがありました。まず、大型の積乱雲が多く発生する空域(熱帯収束域)をP-3C型航空機の性能でいかに避けて飛行するか、航空機のトラブルといった不測の事態にどの飛行場を使用するかなど、中東方面への飛行経験のある航空自衛隊からも情報を収集しつつ、安全に飛行するためのインドまでの飛行経路の選定に多くの時間が必要でした。また、インドの空港では国内の基地と違って、航空機の整備など、飛行に必要な様々な支援が得られないことから、あらゆる事態を想定し、航空機の部品をはじめ、専用の整備用器材など、航空機の重量制限の範囲で厳選し、自ら持参しました。
衛生面においては、絶対に生水を飲まないようにするなど十分に注意していましたが、日中の猛暑の中での作業と、香辛料を多く使う食事の違いなどから体調を崩す隊員もおり、課題の残る結果となりました。
そのほか、インドの空港からP-3Cで片道約3時間のベンガル湾の洋上で行われた共同訓練においては、日本国内でのオペレーションとは違い、通常は飛行前に行う作戦内容の確認や訓練参加部隊などとの情報交換が難しく、何かと不自由でしたが、訓練が始まった後は、訓練現場での外国艦艇・航空機とのコミュニケーションを、各国のお国なまりの英語に悩まされつつも、良好にとることが出来ました。
今回のインド方面での共同訓練を通じて、米国だけではなく、インド、シンガポール、オーストラリアの参加海軍部隊との信頼関係を醸成するとともに、東アジアにおける日本の存在感を十分にアピールすることができたものと考えています。また、私自身にとっても貴重な経験となり、今後、国際的な活動を命じられた場合に、迅速かつ柔軟に対応できると自信を持つことができました。