第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)オーストラリア空軍輸送機部隊との防衛交流に参加した隊員の声

航空自衛隊 航空支援集団司令部防衛部 1等空佐 北村靖二(きたむらやすじ)
(当時:第2輸送航空隊第402飛行隊長)


 昨年、航空自衛隊としては初の防衛交流・部隊訪問を主目的とした、日本−オーストラリア連邦(豪州)への輸送機による国外運航を実施しました。
 これまでの国外運航では、主としてC-130H輸送機が使われ、部隊交流については、任務運航の際の付加的なものに留まっていましたが、今回、U-4多用途支援機を初めて使用し、日豪の輸送機部隊レベルの防衛交流を主目的に親善訪問が実現しました。
 豪州は親日的であり、かつ、日本と同様に米国と同盟関係にある国でありながらも、これまで空軍種間の具体的な防衛交流を進める環境にはありませんでした。しかし、昨年、両国の外相および防衛相級のハイレベルの合意の中に部隊間交流の促進が含まれ、具体的な交流の第一歩となったものと考えられます。
 豪州空軍本部や同航空輸送群などへの部隊訪問を通じて、部隊レベルの相互理解を図ることができました。特に、互いに輸送機を運用する部隊という共通のフィールドにおいて、運用に関する共通点や相違点などを認識し、今後の課題などについて意見交換する良い機会となりました。
 豪州空軍の印象を表現すると、
○ 他国軍の良い所を吸収しつつ、自らのスタイルに発展させていく気概のある軍隊。
○ 自衛隊員にも増して、“明るく、爽やか、フレンドリー”である一面、軍人としての誇りと愛国心を持ち合わせた軍人が多い。
○ 装備品は近代的であり、最新のシステムを導入している。
 という点が挙げられます。
 今回の部隊間交流においては、現地における交流行事が多彩に準備され充実しており、今後の二国間協力のあり方に関する議論や、空自主催のレセプションの企画立案を通じ、実施のためのプロトコルを学んだりと、部隊運用に留まらない防衛交流は、今後の国際活動の大きな糧となったと思います。
 
豪空軍輸送機(B-737)と日豪防衛交流に参加した隊員(最上段左が北村1佐)

 

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