第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)陸軍兵站実務者交流に参加した隊員の声

陸上幕僚監部 装備部 2等陸佐 濱松泰広(はままつやすひろ)
(現所属:監理部)


 陸上幕僚監部(装備部)は、昨年12月3日〜7日の間、市ヶ谷駐屯地などにおいて、初参加のインド、インドネシアを含むアジア・太平洋地域9か国から過去最大となる10名の兵站実務者(米国は陸軍、海兵隊から参加)を招へいして、陸上自衛隊(中央即応集団、研究本部、補給統制本部、幹部学校、小平学校)および統合幕僚監部などからの参加を得て、「陸軍兵站実務者交流(MLST:Multilateral Logistics Staff Talks)」を開催しました。今回で11回目を迎える本事業は、近年アジア・太平洋地域で頻発している大規模自然災害を受け、「国際的な災害派遣活動における兵站協力」をテーマとし、各国の災害派遣活動における兵站支援体制について情報および意見の交換を行い、相互理解の促進と信頼醸成の獲得を目指しています。
 会議は、国際的な災害派遣活動の経験に基づき各国参加者から概要説明を受けた後、兵站協力に関するグループ討議を行って、他国軍との協力枠組み、効率的な情報共有施策、戦略輸送力の確保について認識を共有するとともに、今後の課題について討議しました。部隊研修では東部方面隊を訪問し、陸上自衛隊の兵站支援態勢を現地で確認しながら意見を交換しました。
 私は平成17年度から3年間、MLSTにかかわってきましたが、会議準備間には、文化・風習などの異なる各国参加者と電話・メールによる事前調整が予定通りに進まなかった時もあり、各国所在の日本大使館付防衛駐在官にご協力を頂きながら、会議の内容から管理事項まで調整してきました。参加者が日本に到着後は、我々との意見交換、参加者相互の親睦はすばらしいもので、国は違っても同じ陸軍種の兵站実務者として共感できる点が多く、すぐにうち解け合い信頼関係を深めることができました。約1週間の会議を終えて参加者を成田空港で見送る時は、事業を成功裡に終えられる達成感と同時に、親交を深めた参加者と別れる寂しさとが入り交じり、会議を企画した者として本当に貴重な経験をできたと実感しました。
 MLSTは、各国の兵站実務者が必要とするテーマを話し合うため東京に一同に会し、アジア・太平洋地域のヒューマンネットワークを構築することにより、将来の国際平和協力活動において真に役立つ相互理解と実効的な兵站協力を可能にする効果があります。各国参加者の会議に臨む参加意欲も年々高まっています。今後もMLSTは成果をさらに発展させ、防衛交流の重要な一役を担うものと期待しています。
※ 昨年度参加国:オーストラリア、インド、インドネシア、大韓民国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、アメリカ
 
会談において概要説明を行う濱松2佐
 
参加者によるブリーフィング

 

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