第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)インド洋における補給支援活動に従事した隊員の声

海上自衛隊 護衛艦むらさめ 1等海曹 甲斐貴秀(かいたかひで)
(現所属:第21航空隊)


 私は、SH-60K哨戒ヘリコプターの航空士として護衛艦「むらさめ」に乗艦し、インド洋における補給支援活動に従事しました。
 補給支援活動におけるヘリコプターの主な任務は、補給艦の針路上の偵察および船舶の監視です。これは実任務下の飛行であり、実弾の搭載や防弾チョッキの着用、防弾座席の装備など、ふだんと異なる特殊な装備を施し、不測の事態に備えたものです。海域の気象および海象は日本と大きく異なり、特に炎天下では、機内温度が40℃を優に超え、熱中症にかかるおそれがあるため定期的に水分を補給するなど、日本国内では考えられない注意が必要でした。さらに、2、3日ごとに発生する砂嵐や高温、高湿度は、航空機の機器に悪影響を与えるため、非常に神経を使いました。
 私にとって、はじめてのインド洋派遣であり、慣れない環境下ではいろいろと苦労がありました。しかし、第1回目の支援活動においてパキスタン海軍の艦艇に給油を行った際、この艦艇が日の丸を掲げ、艦内では「君が代」を流して、海上自衛隊による支援活動の再開を喜んでくれたことを知り、我々の活動が国際平和協力に役立っていることを感じると同時に身の引き締まる思いがしました。そして、世界の一員として、協力国と同じく汗を流すことが、日本の国益につながると肌で実感した瞬間でもありました。
 
護衛艦「むらさめ」艦上での甲斐1曹(インド洋)
 
補給艦「おうみ」からパキスタン艦艇への洋上補給(08(平成20)年2月21日)

 

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