第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)イラク人道復興支援派遣輸送航空隊で勤務した隊員の声

航空自衛隊 第1航空団基地業務群衛生隊 2等空佐 坂内 仁(さかうちひとし)
(当時:イラク人道復興支援派遣輸送航空隊衛生隊長)


 派遣部隊から帰国する隊員達の誇りと充実感に満ちた顔がとても印象的で、「自分も貢献したい。」と思い、派遣を希望しました。
 私は、衛生隊長として隊員の医療を含めた健康管理を担当しました。衛生隊は、診療(医科、歯科)のほか、身体検査や救命法などの隊員教育、メンタルヘルスケアも担当。また、不測事態や急患の発生に即応できる態勢を維持していました。しかし、気の休まらない毎日で、特に医療担当の医官(副隊長)は1名で、彼の4か月間は心身共に大変だったと思います。
 現地では、米空軍医療群との救護訓練にも積極的に参加することができました。日本ではめったにできない他国と連携した不測事態対処訓練は貴重な経験でした。米空軍の医療班とは言葉の壁(笑)もありましたが、顔をつき合わせた訓練のおかげで、強い信頼関係を構築できたと思います。その結果、急患発生の際には、診察や搬送にも快く協力してもらえました。
 今回、国際平和協力活動に従事できたことに誇りを感じます。また、何より不在間の業務を補佐してくれた部下や、さらに、派遣を決心する際、快く応じてくれた家内と親戚の協力にもとても感謝しています。
 
歯科診療中の坂内2佐

航空自衛隊 第1輸送航空隊整備補給群本部 2等空曹 野村雅裕(のむらまさひろ)
(当時:イラク人道復興支援派遣輸送航空隊整備隊)

 派遣先のクウェートのアリ・アル・サレム基地は、周囲360°見わたす限りの砂漠。砂嵐が舞う荒野、乾燥した気候や強い日差し、さらに昼夜で約40℃もある激しい気温差など、これまでの自分には全く別世界でした。
 ここでの勤務はもちろん志願です。国際社会の一員として、イラクの復興や中東の安定という任務に就きたかったのが理由です。
 自分は、C-130H輸送機の整備統制要員として、効率的な整備を実施するため、整備計画を作成し、各整備員に作業を割り当て、航空機の可動状態を維持・管理する業務を行っています。
 自分が一番やり甲斐を感じるのは、自分や仲間が整備したブルーグレーの
C-130H輸送機が任務飛行を無事に終え、基地に帰還してくる瞬間で、「今日も良く飛んでくれたな!」と思い、ホッとします。
 着陸後は、翌日の任務のため直ちに整備に取り掛かりますが、いつの間にか真っ暗な夜中だったなんてことは日常茶飯事。また、クウェートでの整備作業は工具や整備器材も十分ではありませんが、整備環境が整っていない分、自分たち整備員は“ガッツ”と“アイデア”で問題などを克服し、日々、愛機をイラクの空へ送り出しています。今後も整備員のスキルをさらに磨き、万全の態勢で、日本の国際平和協力活動に関する任務に臨んでいきたいと思います。
 
機体の整備業務について調整する野村2曹

 

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