第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

(解説)憲法をめぐる議論

 昨年5月、日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)が成立し、10(平成22)年から施行されることとなった。同法に従い、憲法の改正について、国民の承認にかかる投票(国民投票)が行われることとなる。また、同法の一部施行により昨年8月に衆参両院に憲法審査会が設置された。
 近年、国会などの場で憲法をめぐる議論が行われてきた。05(同17)年4月、衆参両院の憲法調査会は報告書を提出した。その中では、安全保障にかかわる分野である第9条、自衛権と自衛隊、国際協力などについても記述され、同調査会において議論されたさまざまな意見が紹介されている。
 その後も05(同17)年10月には民主党が「憲法提言」を、翌月には自民党が新憲法草案を発表した。また、公明党は憲法に新たな理念を加えて補強する「加憲」を主張している。各党が挙げた論点の一つが現行憲法の第9条に関するものであり、各党とも平和主義の堅持を明確にしつつ、自民党は「自衛軍」の保持やその活動などについて条文化した。また、民主党および公明党も、自衛隊の存在や国際的な活動の位置づけなどの点について考え方を示したり、論点の整理を行ったりしている。

 

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