6 日印防衛交流
インドは、わが国との関係においては、伝統的な友好関係があり、また、民主主義、自由市場経済という点でも、わが国と認識を共有している。
また、広大な国土と10億人を超える人口を持ち、南アジア地域の安全保障において大きな影響力を持っている。この地域は、わが国と中東地域を結ぶ海上交通路の安全や、わが国がインド洋などで行っている活動にとっても重要な地域である。このため、インドと防衛政策や地域情勢などに関する意見交換を行い、相互理解を深めるとともに、信頼・協力関係を増進させることは有意義である。
06(平成18)年12月、シン印首相が訪日し、安倍総理(当時)との間で日印関係を「戦略的グローバル・パートナーシップ」
8に引き上げ、その構築に向けた政治・安全保障などの分野における具体的取組を示す共同声明に署名した。さらに、昨年8月、訪印した安倍総理(当時)は、シン首相との間で「新次元における日印戦略的グローバル・パートナーシップのロードマップに関する共同声明」に署名し、安全保障分野における将来の二国間協力の方向性の検討や防衛交流の強化などについて一致した。
(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
昨年8月、小池防衛大臣(当時)および木村防衛副大臣(当時)が相次いで訪印し、それぞれアントニー国防大臣およびパラム・ラジュ国防担当閣外大臣などと会談を行った。防衛会談では、テロとの闘い、地域情勢、両国の関係などについて意見交換を行い、防衛交流をさらに発展させていくことで一致した。
昨年4月には、ダット印国防次官(当時)が訪日し、守屋事務次官(当時)との間で、これまでの次官級協議を日印防衛政策対話として拡充し、今後の日印防衛交流の深化や地域情勢について意見交換を行った。
また、同年1月には、チャギ空軍参謀長(当時)が、4月にはシン陸軍参謀長(当時)が相次いで訪日し、それぞれ吉田空幕長(当時)および折木陸幕長と意見交換を行った。
(2)防衛当局者間の定期協議など
本年2月に、局長・審議官級の防衛当局間協議を行い、日印防衛交流や地域情勢などについて意見交換を行い、本年3月には陸自とインド陸軍との間で実務者レベルの協議を行った。
また、留学生の派遣・受入れのほか、防衛研究者の相互訪問など、研究交流を活発に行っている。
(3)部隊間の交流など
海自は、インド海軍との間で、これまで頻繁に相互訪問を行っており、この際、練習艦隊とインド海軍部隊が親善訓練を行うなど、部隊間の交流を活発に行っている。昨年4月には、インド海軍艦艇3隻が、15回目となる訪日を行い、これに合わせて、初めてとなる日米印3国間訓練を行った。さらに、同年9月には、ベンガル湾周辺海域での多国間海上共同訓練(マラバール07-2)
9に海自が初めて参加した。