第III部 わが国の防衛のための諸施策 

1 在日米軍の駐留にかかわる経費の負担など


(1)在日米軍駐留経費負担
 在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で重要である。このような観点から、わが国は財政事情などにも十分配慮しつつ、日米地位協定の範囲内で、あるいは特別協定1に基づいて、できる限りの努力を払ってきた。現在、防衛省においては、図表III-2-3-9のとおり在日米軍駐留経費の負担を行っている。
 
図表III-2-3-9 在日米軍駐留経費負担の概要

 本年5月に発効した新たな特別協定においては、労務費および訓練移転費は、前協定の枠組みを維持する一方、光熱水料等につき一定の削減を図るほか、在日米軍駐留経費負担について米側が一層の節約努力を行うこととしている。さらに、本協定の締結に際し、日米両政府が、より効率的で効果的な在日米軍駐留経費負担とするために、包括的な見直しを行うことでも一致した。

(2)駐留軍等労働者の給与の見直し(格差給の廃止など)
 わが国は、駐留軍等労働者の給与に関し、言語、習慣などの異なる環境の下で勤務するという労働環境を考慮して、格差給および語学手当の一部を負担してきたところである。しかしながら、この手当については、米軍人などの指揮監督の下、在日米軍施設において勤務するという点での特殊性は変わらないものの、制度が設けられた昭和20年代から社会情勢が大きく変化したことから、国家公務員にない手当・制度については、給与制度の合理性の観点から平成20年度より廃止することとした。
 また、退職手当については、05(平成17)年に改正された国家公務員の退職手当制度に準じた見直しを行い、平成20年度より国家公務員の水準に引き下げることとした。
 なお、これらの制度が長期にわたり存続し、生活給として生活設計の一部ともなっていることを考慮し、在職者に対し、現在の給与額を保障し、さらに、改正後5年間は激変緩和措置を設け、これを5年後に見直すこととしている。

参照> コラム「駐留軍等労働者」

(3)在日米軍駐留経費負担以外の措置など
 これらの在日米軍駐留経費負担のほか、政府は在日米軍施設・区域の提供に必要な経費(施設の借料など)の負担、同施設・区域の周辺地域における生活環境などの整備のための措置、駐留軍等労働者の離職対策などを
行っている。また、市町村に対して固定資産税の代替である基地交付金2などを交付している。
(図表III-2-3-10 参照)
 
図表III-2-3-10 在日米軍駐留経費負担の現状(平成20年度予算)


 
1)正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」

 
2)総務省が交付


 

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