第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 日米政策協議の実績


 05(平成17)年以降の日米政策協議(閣僚級)の実績は、図表III-2-3-2のとおりである。昨年8月8日には、米国ワシントンにおいて小池防衛大臣(当時)とゲイツ国防長官の間で、同年11月8日には、防衛省において石破前防衛大臣とゲイツ国防長官の間でそれぞれ防衛相会談が行われた。さらに本年5月31日、第7回国際戦略研究所アジア安全保障会議への出席の機会をとらえ、シンガポールにおいて、石破前防衛大臣とゲイツ国防長官の間で防衛相会談が行われた。
 
図表III-2-3-2 日米協議(閣僚級)の実績(2005年以降)

 また、閣僚レベルのみならず、日米の実務者レベルにおいても随時協議を行っている。

(1)日米防衛相会談(昨年8月8日)
 小池防衛大臣(当時)とゲイツ国防長官の間で行われた会談の概要は、次のとおりである。

ア 情報保全
 情報保全に関し、自らが取り組むべき最も大きな課題と認識しており、防衛省・自衛隊として全力で取り組むこと、カウンター・インテリジェンスの分野を含めた政府としての取組にも積極的に貢献していくこと、日米が共同して情報保全の強化に取り組んでいくことの重要性について意見交換。

イ 在日米軍再編
 ロードマップに従って日米合意どおりに早期に実現していくとの認識で一致。
 普天間飛行場代替施設について、環境影響評価方法書を沖縄県に提出したことについて説明した上で、着実に進展させていきたい旨発言。嘉手納以南の土地返還については、キャンプ瑞慶覧の最大限の規模での早期返還を求めたのに対し、米側からは、最大限の返還に努めるが色々検討する必要がある旨応答。また、グアム移転については、経費の効率化に配慮しつつ早く実現することが日米双方の利益である旨発言。横田飛行場の軍民共用化について、スタディ・グループの作業について引き続き協力して実施していくことで一致。

ウ 次期戦闘機(F-X)
 日本側から、東アジア情勢の変化の中で、日本防衛に必要な能力について検討する旨述べたのに対して、米側からは、米国にとってもF-Xの問題は重要であり、日本ひいては日米同盟にとっていかなる能力が必要かについて日米共同で検討していきたい旨の発言があった。

エ テロとの闘い
 わが国がテロとの闘いにおいて引き続き重要な役割を果たしていかなければならないこと、(昨年)11月に期限が切れるテロ特措法の期限を延長することを政府内で検討していること、日本が世界から期待されている役割を果たすためにも是非ともその延長が必要である旨発言したのに対し、米側からは、テロとの闘いにおけるこれまでの日本の貢献を非常に評価していること、日米同盟がここ十数年で飛躍的に進展してきたことなどについての感銘を受けている旨の発言があった。

(2)日米防衛相会談(昨年11月8日)
 石破前防衛大臣とゲイツ国防長官の間で行われた会談の概要は、次のとおりである。

ア 国際安全保障環境
 北朝鮮の核問題について、日本の安全保障上、核施設等だけでなく核兵器も含め朝鮮半島の非核化を実現することが重要である旨発言し、北朝鮮の核問題に関して、日米が緊密に連携していくことが必要との認識で一致。

イ 同盟の変革
 両国のBMDシステムの整備が進む中、今後は効果的運用が重要になってきており、BMDを含む日米防衛協力を一層強化するためには、日米で共有する情報の保全が極めて重要であるとの認識で一致。

ウ インド洋における給油活動
 国際社会によるテロとの闘いを継続していく必要性につき再確認。インド洋における給油活動につき、日本のために、国際社会への貢献のために、そして日米同盟の強化のためにも早期に再開することが重要であり、補給支援特措法案を成立させるため全力をあげたい旨発言したのに対し、米側は、テロとの闘いにおけるこれまでの日本の貢献を評価するとともに、活動の早期再開に向けた日本政府の取組に感謝の意を示した。
 また、いわゆる「一般法」について積極的に検討すべきという考えが出てきており、今後、与野党における議論や国民的な議論の深まりを踏まえ、重要な課題として取り上げていきたい旨発言。

エ 在日米軍駐留経費負担
 在日米軍駐留経費負担について、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するための重要な要素であることにつき確認し、特別協定については、早期の合意を目指していくことで一致。

オ 米軍再編
 普天間飛行場の移設・返還を含む米軍再編全般について、日米合意に従って実施していくことを確認し、嘉手納以南の土地返還について、キャンプ瑞慶覧の最大限の規模での返還を求めた。
 また、在日米軍再編の基本理念である「抑止力の維持と負担の軽減」という概念について、今後、抑止力の維持の側面についても議論していく必要があるのではないかとの問題意識を共有。

カ 役割・任務・能力
 役割・任務・能力の検討を継続し、二国間協力の実効性を高めることの重要性を確認し、さらに、日米間の情報共有の推進に継続的に取り組んでいくことで一致。

(3)日米防衛相会談(本年5月31日)
 石破前防衛大臣とゲイツ国防長官の間で行われた会談では、米側から、日本がインド洋における補給支援活動を再開したことにつき高く評価するとの発言があった。また、国際社会の平和と安定のために、引き続き日米が緊密に協力していくことで一致。米軍再編については、ロードマップに従い着実に実施していくことが重要であることを確認するとともに、日本側から、米軍再編には抑止力の維持と地元の負担軽減の2つの意義があること、今後事業を進めていく上で、両国が必要な情報を共有し、国民への説明責任をきちんと果たしていくことが必要である旨発言。
 
日米防衛相会談に臨む石破前防衛大臣とゲイツ国防長官(昨年11月)

 

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