2 在外邦人などの輸送態勢の整備
(1)自衛隊法の改正
外国での災害、騒乱、その他の緊急事態に際しての在外邦人などの輸送については、99(平成11)年、輸送手段として、それまでの政府専用機や空自の輸送機に加え、自衛隊の船舶とその船舶に搭載されたヘリコプターが追加され、また、隊員と邦人などの生命や身体を防護するため必要最小限の武器の使用ができるようになり、輸送のための態勢が強化された。なお、在外邦人などの輸送は、昨年1月、本来任務と位置付けられ、自衛隊法第84条の3に規定された。
参照> II部1章4節
(2)各自衛隊の態勢など
派遣先国の空港・港湾などで、在外公館から在外邦人を引き継ぎ、航空機・船舶まで、より安全に誘導できるよう、陸自ではヘリコプター隊と誘導隊
4の要員を、海自では輸送艦をはじめとする艦艇と航空部隊を、空自では輸送機部隊および派遣要員をそれぞれ指定するなど待機態勢を維持している。
なお、在外邦人などの輸送任務は、基本的には各自衛隊が緊密に連携して行うため、統合調整が必要となることから、輸送機や輸送艦などを用いて統合訓練を実施するなど、任務遂行のための能力向上に努めてきた。
(3)在外邦人などの輸送実績
イラク人道復興支援特措法に基づき派遣されていた陸自の活動などを取材するためイラクのサマーワに滞在していた報道関係の邦人10名を、04(同16)年4月15日、同国のタリル飛行場からクウェートのムバラク空軍基地まで、自衛隊法第84条の3(当時100条の8)の規定に基づく初めての在外邦人などの輸送として、空自輸送機(C-130H)により輸送した。