4 欧州における安定化のための努力
1 軍備管理・軍縮
92(平成4)年に発効した欧州通常戦力(CFE:Conventional Armed Forces in Europe)条約は、戦車、装甲戦闘車両、火砲、戦闘機、攻撃ヘリの五つの区分の兵器について、東西両グループ
1欧州における安定化のための努力ごとの保有上限を定めており、これを超える兵器を削減することにより、双方の奇襲や大規模侵攻の能力を除去し、欧州の安全と安定の要となってきた。
ワルシャワ条約機構(WPO:Warsaw Pact Organization)の解体とNATOの東方拡大を踏まえ、99(同11)年のOSCE首脳会議では、従来の東西両グループごとの保有制限を国別・領域別保有制限に変更することを主な内容とするCFE適合条約が署名された。しかしながら、NATO諸国は、ロシアが条約署名と同時に合意したロシア軍のモルドバおよびグルジアからの撤退などを履行していないことを理由に、批准を見合わせている。
これに対し、ロシアは、米国による東欧でのミサイル防衛(MD:Missile Defense)計画などへの反発も相まって、昨年12月以来CFE条約の履行を停止しており、保有制限の順守を検証するための査察などが行われなくなっている。