第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

3 インド・パキスタン関係


 第二次世界大戦後、旧英領インドから分離・独立したインドとパキスタンの間では、カシミールの帰属問題1などを背景として、これまでに3次にわたる大規模な武力紛争が発生した。
 カシミールの領有をめぐる問題は、対話の再開と中断を繰り返しつつ今日もなお続いており、インド・パキスタン両国の対立の原点ともいうべき懸案事項となっている。
 これまで、カシミール問題に関する両国の主張には大きな隔たりがあり、同問題の解決は難しいとみられてきたが、04(平成16)年2月には、カシミール問題を含めた両国の関係正常化のための「複合的対話」が開始され、両国関係には、これまで一定の進展が見られる2。今後、両国間の緊張緩和が加速する中で、将来的にカシミール問題の解決を図ることが可能かどうか注目される。


 
1)カシミールの帰属については、インドがカシミール藩王のインドへの帰属文書を根拠にインドへの帰属を主張するのに対し、パキスタンは48(昭和23)年の国連決議を根拠に住民投票の実施により決すべきとし、その解決に対する基本的な立場が大きく異なっている。

 
2)05(平成17)年8月、両国は、弾道ミサイル実験の事前通告や両国外務次官の間にホットラインを設置することにも合意した。


 

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